アルツハイマー型認知症(AD)治療薬「アデュカヌマブ」についての2つの記事

1つ目は、5月13日に日刊工業新聞から配信された以下の記事です。
認知症の進行抑制も夢ではない。製薬や大学で研究進む
以下は、アデュカヌマブについての記述をそのまま転載したものです。


厚生労働省の推計によると、国内認知症患者は2012年に462万人、25年は700万人になる。患者の症状が進行すると家族や介護者の負担も増す。病気を未然に防ぐ発想や、症状が出始めた段階での対処が必要だ。そうした観点を踏まえた新薬や診断手法が普及すれば、認知症の進行抑制も夢ではない。

「病気を起こす原因に切り込んでいっている点が今までの薬とは違う」。エーザイの木村禎治執行役は、米バイオジェンと共同開発中のアルツハイマー型認知症(AD)治療薬「アデュカヌマブ(一般名)」の特徴をこう説明する。

エーザイは認知症薬「アリセプト」を創製し、09年度に世界で3228億円を売り上げた。だが同剤は症状の進行を遅らせても、止めることはできない。認知機能の低下を未然に抑えるなど、効果の高い薬が待たれる。

ADの原因は解明されていないが、たんぱく質の一種であるアミロイドβ(Aβ)が脳内に蓄積して起きると考えられてきた。

東京大学大学院薬学系研究科の富田泰輔教授は「認知症はAβがたまり始めた初期は症状がなく、十数年かけて悪化するという点で慢性疾患として捉えることができる」と指摘。症状が現れる前にAβを除去できれば認知症を防げる可能性がある。

「アデュカヌマブ」は脳内からAβの凝集体を除去する意図で開発が進む。エーザイは陽電子放射断層撮影(PET)検査でAβの脳への沈着状況を診断するなどし、早期AD患者を同剤の第3相臨床試験に組み入れている。20年度ごろに発売したい考えだ。

ただ、PET検査は高額なカメラや半減期の短い放射性薬剤が必要。定期健康診断のように多くの人に同検査を受けてもらい、認知症予備軍を洗い出すのは現実的でない。

そこでエーザイはシスメックスとの共同研究で、血液から脳内のAβ量を把握できる可能性を追求している。

血液検査を実施し、Aβ凝集が疑われる人のみPETで確定診断を行えば、患者負担や医療費を抑制できる。「我々が薬を出すのと同時期に、血液診断も出せたらいい」(木村エーザイ執行役)。


2つ目は、Bloombergから2月15日に配信された以下の記事です。
バイオジェンの株価急落-アルツハイマー薬試験の変更で懸念売り
以下は、記事の抜粋です。


2月14日の米株式市場で、バイオジェンの株価が急落した。アルツハイマー病治療薬の臨床試験に変更を加えると明らかにしたことが嫌気された。この分野では競合他社による治療薬開発の失敗が相次いでいる。

バイオジェンは同日の投資家向けプレゼンテーションで、アデュカヌマブの試験に参加する患者を約500人追加すると説明。試験は最終段階にあり、今年後半に完全な結果が出る見通しとなっていた。開発最終段階のアルツハイマー病治療薬で、アデュカヌマブは試験が依然として行われている数少ない薬の一つ。

統計的なばらつきがあまりにも多く、患者への効果の有無について明確な兆候を研究者が得られていないことが問題と見られている。

バイオジェンの株価は一時9.1%下落し、2016年6月以来の大幅安となった。アナリスト、ブライアン・スコーニー氏はインタビューで、「治験がデザイン通りにうまくいっていないということは通常、良い兆しではない。アルツハイマー病治療薬の臨床試験の歴史を踏まえると、アデュカヌマブはそもそも極めてリスクの大きい新薬候補と考えられていた」と語った。


私の知る限りでは、アルツハイマー業界では、「アミロイドβ仮説」に基づく新薬候補の臨床試験が次々と失敗に終わった結果、「アミロイドβ仮説」に対する疑念が高まっているはずです。日刊工業新聞の記事は、ブルームバーグの3ヵ月前の記事をまったく無視しています。2つの記事をみて、あなたはエーザイの株を買いますか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする