血糖管理:「米国内科学会が、『A1C成人7-8%』『80歳以上は目標撤廃』を発表!」「米国糖尿病学会はそれを深く憂慮」をどう考えるか

米国内科学会(ACP)は3月6日、「妊婦を除く成人2型糖尿病患者の薬物療法によるHbA1c目標値に関するガイダンス」の改訂版を発表し、ほとんどの非妊娠成人2型糖尿病患者におけるHbA1cの目標値を7-8%の範囲とする推奨を示しました。さらに、80歳以上の高齢者や比較的重度の基礎疾患を合併し、期待余命が10年以内患者の「HbA1c目標は設定しない」と推奨しています(発表をみる)。

これに対して、米国糖尿病学会(ADA)は3月8日、公式サイトで「深く憂慮する(Deeply Concerned)」との見解を発表しました(発表をみる)。これらの発表を受けて、日本の医学界はかなり動揺・混乱していると思われます。

しかし、よく見ると2つの学会の主張はそれほど変わらないことが分かります。

ACPは、”ACP recommends that clinicians should personalize goals for blood sugar control in patients with type 2 diabetes based on a discussion of benefits and harms of drug therapy, patients’ preferences, patients’ general health and life expectancy, treatment burden, and costs of care.”、つまり、すべての患者に厳しい血糖管理を要求するのではなく、個々の患者に適した治療を個別に行うべきだとしています。

一方、ADAは、” The key is to individualize the A1C target based on patient factors—and any deintensification should be based on these factors, such as the presence of severe hypoglycemia, and not on a number. “、つまり、HbA1C目標値の設定はHbA1Cの数値のみで判断するのではなく、重度の低血糖など個別の要因を考えるべきであるとしています。

また、ADAは、”the ADA disagrees that this applies broadly to anyone over age 80, anyone living in a nursing home, or anyone with chronic conditions and who has a limited life expectancy. “、つまり、「高齢(80歳以上)、介護施設居住、慢性疾患(認知症、癌、末期の腎臓病、重症COPD、うっ血性心不全など)などにより、期待余命が10年以内の患者にHbA1cの目標値は設定しない」との推奨をすべての患者に一律に適用することには賛成できないとしています。ある程度の血糖管理が必要な高齢者もいるということでしょう。

要するに、ACPは血糖値管理を緩くする方向、ADAは厳しくする方向の主張をしていますが、どちらも個別対応の重要性を強調しています。”Case by case”であり、一律には決められないということだと思います。私は、エビデンスが蓄積されている通常の成人の場合はHbA1C7%未満の目標を設定し、おそらくエビデンスの少ない80歳以上の場合は目標値にこだわらない、ぐらいのところが良いのではと考えています。

なお、HbA1Cについては、他のサイトの説明をご覧ください。

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