魚油サプリに心血管疾患の予防効果はない。あったとしても効果は非常に小さい

魚油サプリに心血管疾患の予防効果はない?
以下は、記事の抜粋です。


青魚などに含まれるω(オメガ)3脂肪酸にはさまざまな健康効果があるとして、魚油由来のω3脂肪酸サプリメントを使用する人は多い。しかし、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患のリスクが高い人が魚油サプリメントを使用しても、その後の心血管疾患の発症やそれによる死亡のリスクの低下は期待できないことが、オックスフォード大学のRobert Clarke氏らによる研究で示された。

Clarke氏らは今回、心血管疾患の既往歴がある人を主とした高リスク者を魚油サプリメント使用群とプラセボ使用群にランダムに割り付け、致死性および非致死性の心血管疾患の発症リスクを比較検討した10件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。解析対象は計7万7,917人(平均年齢64.0歳)で、平均追跡期間は4.4年だった。追跡期間中に2,695人が心筋梗塞などの冠動脈疾患で死亡し、2,276人が非致死性の心筋梗塞を発症していた。また、1万2,001人で重大な心血管イベント(初回の非致死性心筋梗塞、冠動脈疾患による死亡、致死性または非致死性の脳卒中、血行再建術の施行の複合)が発生していた。

解析の結果、魚油サプリメント使用群ではプラセボ群と比べて冠動脈疾患による死亡リスクは7%、非致死性心筋梗塞のリスクは3%低下していたが、いずれも統計学的に有意なリスクの低下ではなかった。また、重大な心血管イベントについても、魚油サプリメント使用による有意なリスクの低下は認められなかった。


魚油に多く含まれるイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ(ω)3脂肪酸あるいは、n-3系の多価不飽和脂肪酸ともよばれています。

以前にも書きましたが、サプリのサイトをみるとDHAは、学習能力・記憶力の向上、視力低下の抑制、動脈硬化の予防、高脂血症の改善、血栓の抑制、高血圧の抑制、運動能力の向上、老人性痴呆症の改善・予防、抗アレルギー、抗炎症作用、アトピーの改善などの効果があるとされています。さらに、これらの根拠として、一見「科学的」なデータが列挙されています。しかし、これらの効果の大半はまだ「科学的」に確立されていません。

このようなサイトでの「科学的」データの紹介の仕方の特徴は、サプリに効果があったという報告だけが紹介されていることです。実際には今回紹介したような効果について否定的な論文も数多く報告されています。関連記事でも紹介しています。当然のことですが、このようなサプリ販売にとって都合の悪い論文はサプリのサイトでは紹介されません。

では、相反する報告が存在する場合、どちらを信じれば良いのでしょうか?1)学会発表しかされていないものは怪しい。2)査読が厳しい雑誌に掲載されている方が信頼性が高い。3)臨床研究の場合は、前向き(>後ろ向き)のもの、例数の多いもの、無作為化されているものなどが信頼性が高い。4)いろいろな報告が出尽くした後から出てきたネガティブデータは信頼できる。などなどが判断する根拠になります。

本論文は、これらの根拠から判断するとかなり信頼性が高いと考えられます。しかし、上記のように、サプリのサイトには未来永劫絶対に紹介されないでしょう。

興味深いことに、日本では、イコサペンタエン酸(EPA)がエパデール®という商品名で、高脂血症などに対して医療保険が適用される医薬品(処方薬)として市販されており、ジェネリック医薬品もあります(記事をみる)。

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このような宣伝には気を付けてください!

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