今後4年間、日本の製薬メーカーではリストラの嵐が吹く見通し

特許切れ品が後発薬下回る 製薬にリストラ機運 22年度
以下は、記事の抜粋です。


日本の医療で特徴的な「特許切れ医薬品(長期収載品)」の市場規模が2022年度にも後発薬を下回る見通しとなった。国が高コストの長期収載品の優遇を見直して後発薬への切り替えを促すためだ。国は新薬の薬価加算も絞り込む方針。

新薬の特許が切れたら同じ成分で価格が安い後発品に切り替わるのが世界の標準だが、日本は異なる。医師、患者ともに使い慣れたブランド品を続ける意向が強い。保険制度でカバーされているため患者負担がほぼ変わらず、新薬は「長期収載品」となって存続し続けてきた(下図参照)。

しかし、厚生労働省は4月に実施する薬価制度改革で、長期収載品の薬価を段階的に引き下げる方針。推計すると、22年度に約1兆8千億円となり、後発薬を千億円程度下回る。

長期収載品は医師が長年使い続けているので新たな販管費が不要。「薬価100円でも利益が90円のような世界」(製薬OB)だ。製薬会社は長期収載品の見直しを急いでいる。昨年はアステラス製薬と田辺三菱製薬、中外製薬などが特許切れ医薬品事業の縮小や売却を決めた。中外は「売却で(新薬創出の)イノベーションに集中する」と退路を断った。

ただ厚労省の制度改革では革新的な新薬に薬価を上乗せする「新薬創出加算」と呼ぶ仕組みまで削られた。新薬の市場は22年にかけて3割減る見込み。日本製薬工業協会は新薬加算の縮小について「開発意欲を著しく阻害する」と反発し、国に見直しを求めている。


以前にも書いたように、先進諸国ではヒトの平均寿命が生物学的限界に近づきつつあり、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と研究開発して儲ける」という製薬会社のビジネスモデルは既に過去のものになっています。海外の製薬大手の多くはリスク回避のため、ジェネリック市場に参入すると同時に、研究はベンチャーに、臨床開発はCROにアウトソースし、マーケティングと監督官庁との交渉に特化した「商社」的なものに変化してきました。

記事でも、「新薬の市場は22年にかけて3割減る見込み。国内依存度が高い各社は固定費を削減せざるを得ず、17年には大日本住友製薬などが早期退職を募集。医薬品卸大手のスズケンにも広がった。武田薬品工業は大卒大学院卒の18年春入社の採用を例年の100人から30人程度に絞る。新制度のもとで『4月以降、早期退職を検討せざるを得ない』との声は製薬業界で広く聞かれる。」と、リストラが予想されています。

このような状況の中で、「(新薬創出の)イノベーションに集中する」のは、私には賢明な選択肢とは思えません。もしかしたら、日本の厚生労働省が昨年の12月30日、「創薬大国」を実現するため、革新的な新薬を創出する環境整備を進め、国際的競争力を強化するという「日本創薬力強化プラン」を打ち出した(記事をみる)ので、補助金目当てかもしれません。

中外の場合は、強大なロシュグループの一員なので、日本の他の製薬メーカーとは立場が違うと思いますが、アステラスや田辺三菱などはどうなるんでしょう?大量リストラしてベンチャー企業になってしまうのでしょうか?

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