アセタゾラミドには、呼吸中枢を刺激して高山病を予防する効果がある

検出の禁止薬物、処方が必要 斎藤慧陽性反応
以下は、記事の抜粋です。


スポーツ仲裁裁判所から暫定的に資格停止とされた平昌五輪スピードスケート・ショートトラック男子日本代表、斎藤慧の体内からは、禁止物質のアセタゾラミドが検出された。これは市販で購入できるものではなく、医師の処方が必要な医療用の医薬品の成分に含まれる。緑内障やてんかん、肺気腫などの治療に用いられるが、最近は使用量も減っているという。

アセタゾラミドを含む医薬品は、日本国内では製品名「ダイアモックス」として知られ、一般的な薬だが、入手するには医師の処方箋が必要。しかし、インターネットでも購入できるのが実情だ。

アセタゾラミドが禁止物質に指定されるのは、本来とは異なる用途で使用できるためだ。階級制の競技では体重制限がつきものだが、アセタゾラミドを利尿薬として使えば体から水分を抜いて体重を落とすことができる。また、排尿を促すことで他の禁止物質の検出を難しくさせる隠蔽薬にもなる。

斎藤は日本オリンピック委員会(JOC)を通じて出したコメントで「私は筋肉増強剤を使用したことがなく、それを隠そうなどとは考えない。利尿剤で体重を落とそうと考えたこともない。この薬を使用するメリットはない」と潔白を主張している。


アセタゾラミドは、日本薬局方に基づいた解説サイト「おくすり110番」では、「体の余分な水分をとるお薬です。おもに緑内障の治療に使用されています。」と書かれていて、効能には緑内障、てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、心性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、メニエル病及びメニエル症候群、睡眠時無呼吸症候群(錠)などの病気が書かれていますが、緑内障にしても他の病気にしても、処方されることはほとんだありません。

タイトルの「処方が必要」という書き方は、検出されたアセタゾラミドは医師が処方したものだという印象を与えていますが、私は上に書いた理由からその可能性は限りなく低いと思います。臨床ではあまり処方されなくなった一方、富士登山などでの高山病を予防するという情報がインターネットで拡散しています(サイトをみる)。

簡単に購入できるようです(サイトをみる)ので、おそらく、インターネットあるいは闇ルートから得られたものでしょう。

日本登山医学会のサイトに以下のような記載がありました。アセタゾラミドが高山病予防に有効なメカニズムが書かれれています。「ダイヤモックス」はアセタゾラミドの商品名です。


Q3 じゃあなんで効くの?
A.  空気の薄いところに上がったからには呼吸をがんばって空気(酸素)を沢山取り入れたいところです。けれど実際には、呼吸の中枢(延髄にあります)が答えてくれずさぼっている場合が多い(馴化がうまくいかない)。ここぞダイアモックスの出番です。呼吸中枢に刺激を送るのはそのすぐ近くにある炭酸ガスセンサーです。ですから炭酸ガスを適切に吸入するのが実はもっともよい急性高山病の治療法になります(ただ、適切に、というのが難しい)。ダイアモックスは二酸化炭素を吸入したと同じ効果を延髄の二酸化炭素センサーに及ぼします。そして知らず知らずのうちに呼吸を刺激するのです。


ということで、アセタゾラミドは、体重減少や他の禁止薬物の隠蔽以外の効果、即ち、呼吸中枢の刺激による酸素取り込み効果も狙ってアスリートに使われていると思います。

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