子宮頸がん検診、日本はもはや完全に後進国!? HPVワクチンの接種も含めて再考を

子宮頸がん検診、日本はもはや完全に後進国!? HPVワクチンの接種も含めて再考を
医師向けの記事ですが、非常に重要なので以下に抜粋を紹介します。


わが国における子宮頸がん検診の受診率は、30~40%と低く、欧米先進国の水準とはかけ離れている。さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについても、接種後の有害事象をめぐる問題が解決されていない。海外では子宮頸がん検診のパラダイムシフトが起こっているという。昭和大学の松本光司氏が日本婦人科がん検診学会で報告し、「HPVワクチン接種を含め、わが国の子宮頸がん予防戦略について再考する時期に来ている」と指摘した。

子宮頸がん検診の細胞診は感度・再現性が乏しく、時に見落としがあった。米国では2003年に細胞診とHPV検査の併用検診が導入され、以降先進諸国ではHPV検査を導入した検査法を推奨する国が増えている。欧州では最近、「HPV検査単独による検診を先行して実施し、HPV検査陽性者を細胞診で精検する」という手法への転換が加速しているという。

オランダで行われた、子宮頸がん検診に関する大規模ランダム化比較試験では、初回検診の5年後にグレード3以上の前がん病変(CIN3+)が発見される確率は、細胞診陰性では0.45%であったのに対し、HPV陰性例では0.21%、細胞診陰性およびHPV陰性例では0.19%であった(Lancet Oncol 2012; 13: 78-88、下図)。
すなわち、5年後にCIN3+が発見されるリスクは、細胞診単独検診に比べてHPV検査単独検診では大幅に減少するが、併用検診とHPV検査単独検診ではほとんど変わらなかった。米国でのデータでも、併用検診とHPV検査単独検診でほとんど差がなかったと報告されている。松本氏は「海外ではこれらのデータを見て、HPV検査単独検診に舵を切った」と言う。

さらにオランダやオーストラリアでは、在宅で実施可能な「自己採取式HPV検査」を国の検診プログラムとして今年正式に導入、あるいは導入予定である。

一方、わが国では細胞診単独検診導入後、ようやく一部の自治体で併用検診を開始している状況であり、厚生労働省は2013年度から併用検診の検証事業を行っている。わが国独自のデータを得ることも大切ではあるが、欧州では10年前に行われたスタディの追試であり研究ベースでは10年も遅れを取っていることになる。同氏は「海外で新たに併用検診を導入しようという国はない。日本はこのまま突き進んでよいのか」と問題提起した。

また、子宮頸がん予防のもう1つの重要なツールは「HPVワクチン」である。現在、海外ではHPVワクチンとHPV単独検診を組み合わせた新しい子宮頸がん予防戦略「HPV-FASTER」が提唱されている。

HPV-FASTERプロトコルでは、45歳までの女性を対象にまずHPV検査を行う。同検査陽性者では精検を行うが、陰性者にはワクチンを接種し、検診間隔をHPV検査単独検診の場合よりもさらに延長させる。これに4価ワクチンよりも予防効果が高い9価ワクチンを組み合わせれば、検診は生涯に1~2回で済むようになるかもしれない、と考えられているという。

わが国では2013年6月以降、既に4年以上もHPVワクチンの積極的接種勧奨が中止されたままである。中止までの2年半の間に公費助成でワクチン接種を受けた”ワクチン世代”では既に効果が認められているにもかかわらず、接種勧奨再開のめどは全く立っていない。

松本氏は「日本はこのままで取り残される…。HPVワクチン、検診ともにその在り方を再考すべき時期ではないか」と呼びかけた。


以前の記事でも書きましたが、このままでは、世界中で子宮頸がんで死ぬのは日本人女性ばかりになってしまうと思います。

HPV検査は、細胞診と同様に子宮頸部の表面をブラシでぬぐって採取した細胞にHPVが感染しているかどうかを分子生物学的方法で調べます。痛みはほとんどありません。子宮頸がんはHPVの感染が原因です。HPVには100種類以上のタイプがありますが、最近のHPV検査では、主な原因となる14種類のハイリスク型HPVを特定して検出することができます。

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