高齢者の血圧は本当に下げなくても良いのか?

名医たちが実名で明かす「私が患者だったら飲みたくない薬」
週刊現代がまた問題記事を発表しました。誤解を生むひどい記載が満載ですが、まずは冒頭の降圧薬に関する記載を紹介します。以下は、当該記事の降圧薬に関する記載全部です。


「私は血圧が高いのですが、薬は一切飲みません。

血圧は低いほうがいいと言う医者は少なくありませんが、歳をとると血管が固くなるので、身体に異常がなくても血圧は上がります。これは自然なことです。高齢者にあえて血圧を下げる降圧剤(アダラート、ブロプレス、アムロジンなど)を使わなくてもいい。

むしろ血圧を下げすぎたために、脳に血液が回らなくなり、失神することもある。最悪の場合、肝臓や腎臓に障害が出ることもある」

『大往生したけりゃ医療とかかわるな』などの著者で、前高雄病院理事長の中村仁一氏(77歳)はこう語る。


以下の2つは、日本高血圧学会が2014年に発表した最新の「高血圧治療ガイドライン2014年版(JSH2014)」の説明記事から引用した図です。

CKD(chronic kidney disease、慢性腎臓病)の患者さんの場合は、下図のように、腎臓機能の低下と高血圧の悪循環(高血圧⇒腎機能低下⇒高血圧⇒腎機能低下の繰り返し)を断ち切ってCKDの進行をおさえるために、血圧を収縮期130mmHg以下/拡張期80mmHg以下にコントロールすることが目標とされています。中村氏の発言を誤解して(真に受けて?)慢性腎臓病の患者さんが降圧薬を拒否すれば大変なことになります。

薬物性肝障害を引き起こす降圧薬として知られていたメチルドーパはもうほとんど使われなくなりました。最近,汎用されているCa拮抗薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬,ACE阻害薬の安全性は高く、これらで極めてまれに薬物性肝障害が報告されていますが、これは血圧を下げたことが原因とは考えられていません。

どういう根拠で、週刊現代が中村氏を「名医」と呼ぶのかわかりませんが、彼の発言とされる内容の大半は、科学的根拠のない戯言です。ただし、血圧の下げ過ぎによる失神には注意しましょう。

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コメント

  1. あ* より:

    「血圧の下げ過ぎによる失神には注意しましょう」という点に反対する人はいないと思います。