皮膚のメラニンを増やして皮膚がんを防ぐ薬…「美白」はどうよ?

日光浴びずに「日焼け」する塗り薬、10年越しで開発
以下は、記事の抜粋です。


人の皮膚を太陽光線にさらさずに日焼けさせるのを助ける可能性のある薬を開発したとする研究報告が発表された。これにより皮膚がんの発症リスクを減らせる可能性があるという。

この薬は紫外線吸収色素を生成する細胞を活性化するという。赤毛の実験用マウスの皮膚にこの薬を塗ると、マウスの皮膚を真っ黒に日焼けさせることができた。

研究チームは、実験室に保存されていた人の皮膚サンプルで薬剤を試験した結果、塗布する量に比例して皮膚が黒くなることが分かった。この日焼けは数日間持続した。

動物実験では、赤毛マウスが「強力な十分量の投与により、1~2日でほぼ真っ黒」になるのが観察された。薬を除去すると、通常の皮膚再生によって1週間前後で日焼けが消えた。

「今回の研究の潜在的重要性は、皮膚がん予防の新規戦略に道を開くことだと考えている」、「皮膚は人体の中で最もがんに冒され易い臓器で、症例の大半が紫外線に関連するとみられている」と著者の一人は話した。


元論文のタイトルは、”A UV-Independent Topical Small-Molecule Approach for Melanin Production in Human Skin”です(論文をみる)。

研究では、YKL 06-061 とYKL 06-062という2つの低分子化合物を使って実験しています。これらの薬は、Salt-inducible kinase (SIK) とよばれるタンパク質リン酸化酵素を特異的に阻害し、かつヒト皮膚の透過性が高いそうです。これらの薬を皮膚に塗布すると、皮膚のSIKが阻害されます。SIKは、小眼球症関連転写因子 (MITF、microphthalmia-associated transcription factor)というメラニンを産生細胞を分化・増殖させるマスター因子の発現を抑制しているので、SIKを阻害するとMITFの発現が誘導されるそうです。

簡単にまとめると、これらの薬を皮膚に塗ると皮膚の色素細胞が活性化されてメラニンが増え、皮膚が黒くなるということです。この増えたメラニンが紫外線による皮膚のがん化を防いでくれることをねらっています。

日本の化粧品会社でもMITFの研究をしています(メナードのサイトをみる)が目的は逆で、MITFを抑制してメラニンを減らす「美白」です。10年かかってメラニンを誘導させる塗り薬を開発した研究者からみると、皮膚がんのリスクを高めるような「美白」研究は、まったく理解できないかもしれません。

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