知っておきたい「ステロイド」のリスクとベネフィット

知っておきたい「万能薬ステロイド」の重大リスク

記事は、「ぜんそくが持病で、『吸入ステロイド』による治療を行っていた人々のうち33人もの患者が、低血糖や意識障害、けいれんといった症状を引き起こす『副腎不全』という重篤な症状を起こしていたのだ。そしてそのうちの1人は死亡していた。」という記載で始まっています。事実だとは思いますが、治療を行っていた人々が何人かは書かれていません。また、この調査は2002年のもので、吸入ステロイド薬の改良が進んだ現在にも当てはまるかどうかは怪しいです。

他人の悪い噂を流すときに、「xxは非常に優秀だけど、、、」という褒め言葉をつけると効果的なように、この記事でも、「ぜんそくの発作やリウマチといった病気は、アレルギー現象や、免疫が自分の体を攻撃する自己免疫疾患ですが、ステロイドはこうした病気には非常によく効くことで知られています。—–その効き方は、まるで神様の薬のようです。」とステロイドを褒め、その後で多くの副作用をあげています。

代表的な副作用としてあげられているのは、以下の4つです。
・糖を合成する働きを高めるため糖尿病になりやすくなる
・免疫力が低下し感染症にかかりやすくなる
・血小板の機能を亢進させるため血栓症になりやすくなる
・白内障が進行する

「ほかにも、胃潰瘍、副腎不全、多毛症、湿疹、ムーンフェイス(顔の膨張)、骨粗鬆症、緑内障、動脈硬化、高脂血症——挙げれば切りがない。」と書いた後に、「大腿骨頭壊死(骨粗しょう症)」、「精神症状(ステロイド精神病)」、「ステロイド性皮膚炎」などについて書かれています。これらの副作用があることは事実です。

ステロイドの長期使用にはいろいろな問題があることも事実ですが、「2~3年のスパンで目に見える重篤な副作用が出なかった場合でも、長く使い続けた場合、結局は命を縮めることになる。」などの記載にどのような根拠があるのか不明です。科学的根拠は無いと思います

患者さんがこの記事を読めば、ステロイドを飲むのが不安になると思います。その場合でも、絶対に自己判断で急に内服を中止しないようにしてください。

この記事には書かれていませんが、急に薬を飲まなくなると、体の中のステロイドホルモンが不足し、倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下などのステロイド離脱症候群がおこる可能性があります。

突発性難聴という病気の場合、診断されれば直ちにステロイドを用いた治療を開始する必要があります。一般的には、発症してから約48時間以内に適切な治療を開始すれば治療により聴力が改善する方が多く、1週間を超えると、治療をしても改善が困難な場合が多いとされています。

私の周辺にも、ステロイドを恐れて服用を躊躇していた突発性難聴の患者さんがいました。私の勧めに従って発症後2~3日目にステロイドを飲んでくれました。幸い、今はほとんど問題なく聞こえているようです。

「重大なリスク」だけではなく、疾患によっては必須のクスリであることも知っておきましょう。

コメント

  1. あ* より:

    SECRET: 0
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    「『重大なリスク』だけではなく、疾患によっては必須のクスリがあることも知っておきましょう」
    ということは「常識」です。
    ゼロリスクを追求すると間違えるだけでなく、侵襲性の高い介入ほどリスクはある程度あるのは当然ですが、侵襲性の高い介入をやめてしまい、病死や事故死をすれば「自然死」だから良いんだと言い張っても、それが「平穏死」になるわけではありません。「できることをしなかった」ことによって、PTSD発症リスクがあるでしょう。
    あくまでも、本人がどうしたいか?…を徹底して尊重して初めて「平穏死」が可能になることは「常識」ですが、常識から外れるのはPTSD症状ゆえ、なかなか世間の混乱は収まらないと思いました。私事で恐縮ですが、父は当時の抗がん剤をあれこれ試すという選択肢を自ら選び、放射線治療は拒否しました。私は、その選択は、あまり良いとは思いませんでしたが、本人が決断しないとPTSD現象に巻き込まれるのでダメだと言えます。父は、直感的に、ホスピスには行きませんでした。その選択はPTSDの視座からして正しいと言えます。「本人がどうしたいかを尊重」するとは、心理操作をやりまくっているホスピスにて「尊厳死」だの「安楽死」だのをすることとは違うということです。最期の一日までセルフネグレクト強要を受容せずに生きられることがポイントではないかと思われます。
    ところが、現在は、世界的に、セルフネグレクト強要を受容させるように心理操作をやって本人の意思をくじき、そのとき最も廉価な選択をすることを受容させる傾向が蔓延しているため、困りますね。それは、ヒポクラテスの誓いに反していますから。いくらお金がかかるかは、まず念頭から排除し、何が最善かを徹底して検討し、カネが足りなければ、どうやって調達するかを考え、調達できる前に医療的な介入をせざるを得ないならば、そうした経緯も含めて本人が決断できるようにすることがPTSD予防になります。
    そうではなくヒポクラテスの誓いに反するような、医療の常識から外れるようなことになるのはPTSD症状と言えるので、PTSD研究を進め、PTSD予防&克服の道に踏み出すことが出口になるはずです。