「ニモ」や「ドリー」の捕獲のために用いられる青酸(シアン)化合物漁法

「ニモ」や「ドリー」に迫るシアン化物、熱帯魚の毒物漁法
以下は、記事の抜粋です。


映画『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』で主人公のニモとして登場するカクレクマノミなどの熱帯魚は、ペットとして高い人気を誇るが、その多くは有毒物質のシアン化物を使って捕獲されている。これらの魚が自然界で生息場所としているサンゴもまた、この毒物の脅威にさらされている。

『ファインディング・ニモ』公開時には、熱帯サンゴ礁からカクレクマノミが100万匹以上捕獲されたという。敏しょうに泳ぎ回る魚を捕獲するために、違法にもかかわらず最も広く行われている方法の一つが、シアン化物を用いる毒物漁法だ。魚を捕まえるために、シアン化物を吹きかけるか、シアン化物の白濁の中に進入させて、魚を動けなくする。米国のペットショップや卸売業者から購入した観賞用海水魚の半数以上に、残留シアン化物の検査で陽性反応が見られたという。

サンゴ礁に生息する観賞魚の貿易取引額は10億ドル(約1040億円)以上に上ると考えられている。さらに深刻なのは、シアン化物による毒物漁法の実践によって、魚たちの自然界の生息環境であるサンゴ礁が壊滅的な打撃を受けることだ。

報告書によると、米国、欧州、日本、中国が、観賞魚の消費で世界の上位を占めており、フィリピンとインドネシアがその主要な供給国となっているという。


ヒトの場合、口から入った青酸カリ(KCN、シアン化カリウム)や青酸ソーダ(NaCN、シアン化ナトリウム)などのシアン化合物は、胃酸と反応して、シアン化水素ガスを発生します。大量のシアン化水素(HCN)が肺から血中に入ると、全身でシアン化物イオン(CN-)が遊離し、鉄を含むシトクロームオキシダーゼ、ヘモグロビンなどの作用を阻害して、細胞のATP生産や酸素利用ができなくなって死亡します。

魚類の場合は、ヒトとは違って徐々にシアン化合物イオンができるので、即死ではなく一時的な仮死状態になるのだと思います。このように、ある程度シアン化合物に耐性があることや『ファインディング・ニモ』の人気が高まることが、捕獲という悲運につながっているのは、なんとも皮肉です。

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