単一遺伝子変異でおこる稀な統合失調症

統合失調症に関連するまれな単一遺伝子変異
以下は、記事の抜粋です。


統合失調症とその関連疾患は、個人の疾患リスクに及ぼす影響が小さい高頻度の遺伝的変異と疾患リスクに対する影響の大きな低頻度の変異(単一の家族や患者にしか見つからないこともある)の組み合わせが原因となって発生する。

最近の複数の大規模研究で、統合失調症に関連する高頻度の変異を含むゲノム領域が100か所以上同定されているが、本疾患リスクに関連する低頻度変異を有する単一遺伝子を明確に同定した研究はこれまでなかった。

今回、Jeffrey Barrettたちは、統合失調症患者と非患者(合計8,534人)のゲノムのタンパク質コード領域の塩基配列解読を行い、過去の統合失調症患者と非患者(合計5,074人)を対象とした研究で得られたデータと複数の家系研究による別の1,078人の統合失調症患者のデータを組み合わせた。

その結果、ゲノム全体で唯一、SETD1A遺伝子の機能障害性変異が統合失調症患者に統計的に多いことがその他の者との比較によって判明した。SETD1A遺伝子は、遺伝子発現を制御する染色体の変異を調節する役割を担っている。


元論文のタイトルは、”Rare loss-of-function variants in SETD1A are associated with schizophrenia and developmental disorders”です(論文をみる)。

記事にも少し書かれているように、統合失調症については、これまで「原因遺伝子を発見する」研究は数多く行われましたが、どれも不発で、小さな遺伝的および孤発的な変異が数多く積み重なって発症するという、発症メカニズムの解明や治療に直結しない結果しか得られていませんでした。

本研究では、統合失調症全体の0.13%という極めて「稀」な場合に限られるけれども、SETD1Aという1つの遺伝子の機能異常が統合失調症に結びつくということが明らかにされました。

SETD1A遺伝子は酵母からヒトまで高度に保存された遺伝子で、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼをコードしています。この酵素は、細胞の核にあるヒストンというタンパク質のリジン残基をメチル化して遺伝子発現を調節する機能を持っています。本研究が統合失調症の発症メカニズムや治療に結びつくことを期待しています。

コメント

  1. あ* より:

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    臨床医は、まず、PTSDと統合失調症の鑑別診断ができないとダメですので、世界中の精神科医の大半は、
    「鑑別診断ができない」
    専門性の低さによって、現在、悪気がなくても職業倫理が守れないでしょう。
    PTSDにおける加害者(=overkill をやる側)と
    被害者(=PTSD否認で「躁的否認」のアグレッサーや、「うつ病」「認知症」になっていく人々の群れ)が結託して、
    米国発の軍産複合体に日本全体が飲み込まれつつある国際情勢になっております。
    グローバルに精神科臨床医の専門医認定も精神鑑定もスクラップ&ビルドが必要でしょうね。

  2. やす より:

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    tak先生、できましたら教えてください。
    「遺伝子発現を調節」とありますが、どんな遺伝子の発現を調節しているのですか?
    よくわからないので、よろしくお願いします。

  3. tak より:

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    >やすさん
    ご質問ありがとうございます。以下のサイトでヒストンメチル化についての総説が読めますが、どんな遺伝子の発現を調節しているかは書かれていません。ヒストンがメチル化されるとクロマチンの構造全体が変わるので、非常に多くの種類の遺伝子発現が変わると思います。
    http://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/~jnakayam/_src/sc740/pubj07.pdf

  4. やす より:

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    >takさん
    どうもありがとうございました。