承認済みの白血病治療薬ニロチニブでパーキンソン病患者の症状改善

承認済みの白血病治療薬でパーキンソン病患者の症状改善、米大学が学会発表
以下は、記事の抜粋です。


認知症の症状を持つ12人のパーキンソン病患者に対し、FDAで承認されている白血病治療薬を投与した小規模な臨床研究で、11人の認知機能および運動機能の改善が見られたと、ジョージタウン大学の研究チームが報告した。

うち1人の女性は自分で食事ができるようになり、車いすでしか移動できなかった1人の男性は歩けるようになった。さらに、言葉が使えなくなっていた3人は再びしゃべれるようになるなど、6カ月間の臨床研究を通して一部の患者で大幅な症状改善が見られたという。

この薬剤は慢性骨髄性白血病治療薬として日本でも承認されている分子標的薬の「ニロチニブ」(タシグナ®)。

報告によれば、ニロチニブを投与された患者は体の震えといったパーキンソン病特有の症状が減り、さらにこれまでの薬剤を減らすことができたことから、ドーパミンを生成する脳の機能が改善したと見られるという。白血病治療の場合に比べ投与量が少ないため、深刻な副作用もなかったしている。

ただ、今回の報告はプラセボによる比較試験を実施していない小規模な臨床研究である。大規模な臨床試験でその効果が確認されれば、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症といった神経疾患を食い止める有効な治療法になる可能性がある。


少人数の臨床試験だし、論文に掲載されたのではなく、学会発表されただけなので、証拠としてのレベルはまだ低いですが、同じ研究グループは、マウスを用いた動物実験でも、ニロチニブがパーキンソン病の原因物質とされているα-シヌクレインとリン酸化されたタウを減少させることを報告しています(論文をみる)。

メカニズムは、Ablとよばれるタンパク質のチロシンキナーゼ活性の抑制によると研究グループは考えているようです。本当に脳内のチロシンキナーゼ活性の抑制でα-シヌクレインとリン酸化されたタウが減少するなら、この薬はレビー小体型の認知症にも効くはずです。

記事によると研究チームは、2016年にもニロチニブによるパーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経疾患について大規模な臨床試験の実施を計画しているという話ですので、その成果に期待したいと思います。