悪性黒色腫に対するペンブロリズマブ(抗PD-1抗体)とイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)の比較

7Pembrolizumab versus Ipilimumab in Advanced Melanoma(進行期悪性黒色腫におけるペンブロリズマブとイピリムマブの比較)
以下は、NEJM日本語訳記事の抜粋です。


背景:免疫チェックポイント阻害薬イピリムマブ(ipilimumab)は,進行期悪性黒色腫患者の標準治療薬である.ペンブロリズマブ(pembrolizumab)は,プログラム細胞死 1(PD-1)免疫チェックポイントを阻害する薬剤で,進行期悪性黒色腫患者において抗腫瘍活性を示す.

方法:第3相無作為化比較試験において,進行期悪性黒色腫の患者834例を,ペンブロリズマブ(10mg/kg)を2週ごとに投与する群,3週ごとに投与する群,イピリムマブ(3mg/kg)を 3週ごとに計4回投与する群に1:1:1の割合で割り付けた.

結果:6ヵ月の時点での推定無増悪生存率は,ペンブロリズマブの2週ごと投与群 47.3%,ペンブロリズマブの3週ごと投与群 46.4%,イピリムマブ投与群26.5%であった.
12ヵ月の時点での推定生存率はそれぞれ74.1%,68.4%,58.2%であった.

奏効率は,ペンブロリズマブの2週ごと投与群(33.7%),3週ごと投与群(32.9%)において,イピリムマブ投与群(11.9%)と比較して改善した.

追跡期間中央値 7.9 ヵ月の時点で,奏効は,それぞれ患者の 89.4%,96.7%,87.9%で持続していた.グレード3~5の治療関連有害事象の発現率は,ペンブロリズマブ投与群(13.3%と10.1%)のほうがイピリムマブ投与群(19.9%)よりも低かった.

結論:抗 PD-1 抗体ペンブロリズマブは,イピリムマブと比較して無増悪生存期間と全生存期間を延長し,グレードの高い毒性は少なかった.


このブログで最近紹介した「PD-1阻害薬ペムブロリズマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブと「キャシーのbig C」」とほぼ同様の内容の論文です(記事をみる)。

いろいろな悪性腫瘍に効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬をめぐる製薬業界の争いは非常にホットです。PD-1阻害薬(モノクローナル抗体)では、本論文で使われたメルクのペンブロリズマブ(キートルーダ®)と、ブリストル・マイヤーズ・スクイブと小野が提携して日本ではペンブロリズマブよりも先に承認されたニボルマブ(オプジーボ®)が、訴訟沙汰も含めて激しく争っています。リガンドのPD-L1を標的にしたモノクローナル抗体も加えると、8種以上が臨床試験中だといわれています。

PD-1/PD-L1の発現に依存するとは思われますが、これまで不治の病とされていた進行期の悪性黒色腫が治る可能性が出てきました。問題は1ヶ月で約150万円の薬代です。このままがんの免疫療法が発展すると、10年後には日本での関連薬の売り上げが数兆円になると予想されているそうです。がんを治す薬が日本の財政を殺してしまうかもしれません。

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