ビスホスホネートを吸入させることでマウスの肺気腫が改善―肺胞マクロファージのアポトーシスを誘導

骨粗鬆症薬の吸入でCOPDモデルマウスの症状が改善-群大と自治医大
以下は、記事の抜粋です。


群馬大学医学系研究科の上野学医師らの研究グループが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療として、骨粗鬆症薬であるビスホスホネートの吸入が有効であることを見出したと発表した。

近年、COPDの患者数は増加してきているが、 症状を緩和する治療のみが可能であり、根本的な治療法はまだ見つかっていない。

ビスホスホネートは、経口あるいは静脈により循環血液中に入った薬剤のほとんどが骨組織に結合。骨組織内では破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞のアポトーシスを誘導し、骨吸収を強力に抑制することから、骨粗鬆症の治療に広く用いられている。肺胞マクロファージは、破骨細胞と同じく骨髄由来の単球系細胞であり、ビスホスホネートを取り込む性質を持つと考えられるが、経口や静注では肺組織への集積はほとんど認められていなかった。

そこで研究グループは、COPDモデルであるエラスターゼ肺気腫モデルマウスや喫煙肺気腫モデルマウスを用いて、ビスホスホネート水溶液を気管内に吸入。遷延する炎症や気腫病変を改善する効果があることを明らかにしたという。

吸入されたビスホスホネートは、肺胞に常在するマクロファージおよび炎症性マクロファージに選択的に取り込まれた。さらに、培養肺胞マクロファージを用いた検討から、ビスホスホネートは肺胞マクロファージのメバロン酸経路を抑制し、NFkBシグナルを抑制、炎症性サイトカインの産生を抑制するとともにアポトーシスを誘導することが判明したという。


元論文のタイトルは、”Alendronate inhalation ameliorates elastase-induced pulmonary emphysema in mice by induction of apoptosis of alveolar macrophages”です(論文をみるプレスリリースをみる)。

まだ動物実験の段階ですが、アイディアも結果も素晴らしい研究だと思います。次は、ビスホスホネート吸入のCOPDに対する有効性を調べる臨床試験が重要です。

2013年の統計ではCOPDによる死亡者数は16,443人で全体の9位です。日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、患者数は530万人と推定されていますが、2011年の調査によると、COPDと診断された患者数はたった約22万人です。高齢者になるほど高くなる傾向があるので、今後はこれらの数字がさらに大きくなり、死亡順位の上位進出が予想されています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする