患者のHbA1c値と空腹時血糖値から最適のDPP-4阻害薬とその効果がわかるノモグラム

2型糖尿病の薬、血糖値高いほど効かなく、「DPP-4阻害薬」の分析結果
以下は、記事の抜粋です。


DPP-4阻害薬は、2型糖尿病の薬だ。このたび血糖値が高いほどこの薬が効きにくくなると分かった。イタリアのナポリ大学の研究グループが、BMJオープン誌で2015年2月16日に報告した。

2型糖尿病の成人で、治療から1年以内の期間で、DPP-4阻害薬を飲むと、血糖値の指標となるHbA1cがどれくらい反応するかを検証した。928の論文から、無作為抽出により98の論文を分析対象に選んだ。合計でおよそ2万4000人についての治療効果を検証している。

分析の対象となった薬の商品名は、エクア(一般名ビルダグリプチン)、同じ薬だが販売元で名前の異なるジャヌビアとグラクティブ(同シタグリプチン)、オングリザ(同サクサグリプチン)、トラゼンタ(同リナグリプチン)、ネシーナ(同アログリプチン)。

HbA1cは、赤血球の中で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンのうち糖が付いたものを言う。血糖値が継続的に高いと、ヘモグロビンの中でHbA1cの比率が高まる。HbA1cによる血糖値が6.5%以上になると糖尿病と判断できる。

糖尿病の人を対象とした臨床試験では、試験が始まる時点のHbA1cの平均値は8.05%だった。開始時からのHbA1cの減少は-0.77%。血糖値と薬の効果の関連を分析したところ、HbA1cが1.0%増加して、血糖値の水準が高まるほど、DPP-4阻害薬への反応が0.4%~0.5%ずつ下がっていくと分かった。

少なくともこの薬に限ってみれば、治療の成果を高めるためにも血糖値は下げていくのが好ましいということだ。


元論文のタイトルは、”A nomogram to estimate the HbA1c response to different DPP-4 inhibitors in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of 98 trials with 24 163 patients”です(論文をみる)。

変なタイトルの記事だと思って論文を読んでみたところ、記事の理解はまったく間違っていることがわかりました。

タイトルにもあるように、この論文は過去の論文をメタ解析することによって、どのDPP-4阻害薬を使えばどのくらいHbA1cが下がるかを予測する「ノモグラフ」を作ることを目的としています。下の図がそのノモグラフです。

ノモグラフとは、図と定規を使ってアナログ的に目的の数値を出すもので、上の図を使えば、患者のHbA1cの値から最適のDPP-4阻害薬がわかり、その薬を使った場合にどれだけHbA1cが下がるかを予測できます。さらに、空腹時血糖の影響もわかるというものです。

例えば、 HbA1c値が8%の患者の場合、8から上に垂直に伸ばしたpointsが38と最小のエクア®(ビルダグリプチン)が最適です。もしも、空腹時血糖が150以下だと上に伸ばしたpointsは0なので、合計は38のままです。次に図のtotal pointsの38を垂直に下すと-1.05%になるので、HbA1c値は6.95%になると予測できます。空腹時血糖が190だと血糖のpointsが40になるので、total points 78を垂直に下すと-0.65%になるので、HbA1c値は7.35%になると予測できます。

このように、空腹時血糖値が高いとDPP-4阻害薬は効きにくくなりますが、この論文はそれが言いたいわけではありません。むしろ、空腹時血糖よりもHbA1c値がより要です。上のグラフを使えば最適な薬とその効果がわかるということが言いたいのです。エクア®(ビルダグリプチン)>ネシーナ®(アログリプチン)>ジャヌビア®とグラクティブ®(シタグリプチン)>オングリザ®(サクサグリプチン)>トラゼンタ®(リナグリプチン)という効果の序列が嫌な関係者がいたのかもしれません。

コメント

  1. あ* より:

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    そういうふうに、変だと気づくセンスがないと、騙されてしまいますね。
    そういうセンスを子どもの頃から研ぎ澄まして育つようにすることが大事だと思います。
    そうして、学生が変だと気づいたときに、
    「先生、これ、変ではありませんか?」と学生が問います。その際、自発的に調査、精読、考察、報告書作成ができるスキルを育てるのが専門教育でしょう。
    夜間中学レベルのことで問題があるお子さまには、高等教育は必要ありませんし、夜間中学レベルのことを上手に教えるには教育学上のトレーニングが必要なので、大学の先生にはできないでしょう。
    要するに、義務教育と専門教育の線引きが必要です。
    http://ameblo.jp/aya-quae/entry-11995394307.html
    に書きました。
    そうして、義務教育にPTSD予防学習を入れることによって、
    川崎国などという無法エリアを形成させないことが日本を立て直すのに不可欠でしょう。
    http://ameblo.jp/raingreen/entry-11997475790.html
    にコメントしました。