FDAがロルカセリン、Qnexa®に続く、3つ目の肥満症治療薬Contrave®を承認

肥満症治療薬Contraveを承認――FDA
以下は、記事の抜粋です。


FDAはこのほど、2012年以来3剤目となる減量薬Contraveを承認したと発表した。Contraveは、アルコール・薬物依存症治療薬のナルトレキソンと、うつ病および季節性情動障害治療薬で禁煙補助薬としても用いられるブプロピオンの合剤。高血圧や2型糖尿病といった体重に関連する症状および疾患を1つ以上保有する成人の肥満症および過体重を適応とする。

米国では成人人口の3分1超が肥満しており、公衆衛生上の重大な問題となっている。FDAは2012年、肥満治療薬として初めてQsymia(Vivus 社)とBelviq(Arena Pharmaceuticals社およびEisai社)の2剤を承認しているが、New York Times紙によると両薬の販売は芳しくない。

承認にあたっては計約4,500人を対象とした複数の臨床試験の結果が審査された。このうち1試験は、Contrave群の42%が体重の5%の減量を達成できたのに対し、プラセボ群では17%にとどまったという結果だった。2型糖尿病患者を対象にした別の試験では、Contrave 群では36%が体重の5%を減量できたのに対し、プラセボ群では18%だったとの結果が示されている。

Contraveはブプロピオンを含有していることから、ラベルには抗うつ病薬に伴う自殺念慮および自殺行動リスクについての警告文が表示されている。コントロール不良の高血圧患者や発作性疾患患者にも使用すべきでない。Contraveの服用を始めて12週間たっても効果がみられない場合は使用を中止する。

FDAは、同薬の製造元であるOrexigen Therapeutics 社に対し、心リスクおよび小児、10代の若年者における安全性試験も実施するよう求めている。


ロルカセリン、Qnexa®、Contrave®―FDA申請中の新規抗肥満薬の現状についてというブログ記事を書いたのが2010年の11月9日で、その時点ではどの薬もFDAの承認を得ていませんでした。

ロルカセリンは、視床下部のセロトニン5-HT2c受容体を刺激して、食欲や代謝を調節するといわれています。3つの中では体重減少効果が一番弱いと思われます。

Qnexa®は、フェンテルミン(phentermine)とトピラマート(topiramate)の合剤です。フェンテルミンは、、日本で承認されている食欲抑制薬マジンドール(Mazindol、商品名:サノレックス)と同様、構造的にも薬理学的にも覚せい剤(アンフェタミン類)と類似しており、習慣性とともに心機能に対する重大な副作用が報告されています。日本では3ヶ月間しか使えません。トピラマート(商品名:トピナ)は、日本でも市販されている抗てんかん薬です。

Contrave®は、ナルトレキソン(naltrexone)とブプロピオン(bupropion)の合剤です。ナルトレキソンは麻薬拮抗薬の一種で、米国では麻薬中毒やアルコール依存症の治療に用いられています。ブプロピオンは、ノルアドレナリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(DNRI)の一種で、これも日本ではまだ承認されていませんが、欧米では、抗うつ薬として、あるいは禁煙補助薬として用いられています。

これらの承認に長い時間がかかったのは、ロルカセリンには発がんの問題が、Qnexa®には習慣性の懸念などがあったことに加えて、記事にも書かれているように、肥満は薬剤治療が必要な医学的状態ではなく、意志の問題であるという一般的認識があるためだと思われます。日本ではもっとこの認識が強いと思います。

しかし、成人人口の3分1超が肥満しているという米国の状況がこれらの薬物の承認に追い込んだということだと思います。日本でも米国ほどは多くないですが、どうみても意思の問題だけではないと思われる病的肥満(BMI35以上)や超肥満(BMI40以上)の患者さんがおられます。しかし、効きの悪いオブリーン(cetilistat、ATL-962)と使いにくいマジンドール(サノレックス®)しか承認されていません。今後の動向を注目したいと思います。

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