「風邪薬は無意味」は医療界の常識?――寿命を延長しない対症療法は無意味なのか?

「風邪薬は無意味」は医療界の常識?保険適用除外の動き 医療費削減議論が本格化
以下は、記事の抜粋です。


風邪薬の保険適用除外は世界的潮流
日経新聞は、健康保険組合の見方として風邪薬や湿布薬を保険適用外とする改革案を紹介していた。この案に反発を覚える消費者も多いかもしれないが、「風邪薬を保険適用から外す」というのは世界的な潮流から見れば違和感はない。薬を保険適用外とする施策は過去にも何度か行われてきた。例えば、ビタミン剤の単純な栄養目的としての処方が2012年4月から保険適用外になった。また、最近でも14年4月から、うがい薬単独の処方をする場合は保険適用外になった。

科学的根拠に基づく「無駄な医療」
日本感染症学会や日本化学療法学会はガイドラインで、風邪はほぼすべてウイルスを原因とするもので、抗菌薬は効かないとしている。従来の科学的な根拠によると、薬を使っても使わなくても風邪の治療には影響ないとわかっている。国としても、医療行為の成果につながらず、市販薬でも置き換わる薬に保険適用を続けていくわけにはいかない。

70歳以上の医療費引き上げも
日本では、高齢者に対しても積極的に検査や治療を行う傾向はあるが、高齢者への検査や治療が、寿命の延長につながるかを研究で証明するのは難しい。ただし、医療機関は感染症にかかっている人が多く訪れ、検査や治療には思わぬ事故のような有害性や副作用も伴うので、病院受診が高齢者のリスクにつながる可能性があるのは確かだ。


70歳以上の医療費引き上げについては、以下のように、危機的状況にある日本の国民皆保険制度を考えればしかたがないと思います。

関連記事によると、「『年齢階級別1人当たり医療費(2011年度)』で、現役世代の団塊ジュニア世代(40~44歳)に着目すると、彼ら自身の医療費は年間13.2万円程度であるのに対して、その親である団塊世代(65~69歳)は年間45.4万円が必要。さらに、団塊ジュニアの祖父母世代(80~89歳)は年間100万円近くを必要とする。」ということですので、現在の「現役世代は3割負担、高齢者は1割負担」という医療制度は修正の余地があると思います。

「無駄な医療」をしないことは重要だと思いますが、何が無駄かは判断が難しく、対症療法がすべて無駄であるとか、寿命の延長につながらないものは無駄であるとかいう意見は誤りだと思います。
日本の場合、単なる寿命の延長よりも健康寿命の延長やQOLの改善を重視する必要があります。風邪で用いられる解熱鎮痛薬は対症効果しかありませんが、少なくともQOLの改善には役立っているはずです。

また、患者さんが風邪と思って来院する場合でも、他の重篤な疾患の場合も少なくありません。風邪の患者さんが来院をためらうような制度を導入すれば、それらの疾患の発見は確実に遅れます。
「風邪薬の保険適用除外」が世界的な潮流というけれど、日本のような超高齢社会に「世界的な潮流」があてはまるか、適用除外した場合、財政的にどの程度の効果があるのかをもう少し説明する必要があると思います。調べたわけではないですが、酒やタバコの増税の方が効果があるでしょう。

蛇足ですが、「風邪はウイルスが原因なので抗生物質は使うべきではない」というのは正論で、私もそうしていますが、多くの開業医は抗生物質を使います。これは、もしも抗生物質を使わずに患者さんが肺炎になって訴えられた場合、裁判に負けるということが理由だそうです。医療は科学だけで動いているわけではないようです。

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コメント

  1. 嵐 竜治 より:

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    医療費をなんとかしないとパンクするのは、避けられない状況です。
    なぜ、病気になるのか、という生理学、栄養学をひとり、ひとりが学ぶことが、医療費を減らすことのはじまり、だと思います。病気の原因を知れば、治すのは、医者でもない、クスリでもない、自分だということです。