河岡氏が作成したH1N1インフル変異株は「安全保障輸出管理」をスリ抜ける

強力なH1N1インフル変異株、邦人研究者が開発
以下は、記事の抜粋です。


米国に拠点を置く日本人研究者が2日、H1N1型インフルエンザ(別名:豚インフルエンザ)ウイルスを改変し、ヒトの免疫系を回避できる変異株の開発に成功したことを明らかにした。

同研究を行っていたのは、米Wisconsin大学河岡教授。研究結果は論文としてはまだ発表されていないが、英紙Independentがこの研究について7月1日に報じている。
河岡教授の研究について同紙は、危険なインフルエンザウイルスの作製を目的とする「議論を呼ぶもの」と断じ、「一部の科学者らは恐怖を感じている」と指摘している。

河岡教授は、「適切な管理下に置かれた研究室で、免疫を回避するウイルスを選別することにより、2009年(に流行した)H1N1ウイルスが免疫系を回避することを可能にする重要な領域を特定することができた」と説明した。


Independentの元記事のタイトルは、”Exclusive: Controversial US scientist creates deadly new flu strain for pandemic research”です(記事をみる)。なぜか、河岡氏はアメリカの科学者という見出しになっています。

Independentの記事を基に、下のような多くの「扇情的」な記事が書かれています。

全人類絶滅のスーパーウイルス、誕生

日本人科学者に世界中から非難殺到! 強毒型インフルエンザウイルス作製「この研究は狂ってる」

論文がまだ出ていないので、断定的なことは言えませんが、記事をそのまま読むと、H1N1ウイルスの中で、ヒトの免疫系を回避するような特殊な株を同定し、その回避メカニズムを解明したという論文だと思います。ある配列が存在すれば免疫を回避することを証明するために、変異株を作成したのでしょう。

そうだとすると、毒性は変化していないはずですので、少なくとも「強毒型」という見出しは「扇情的」過ぎると思います。

ところで、どこの大学でも「安全保障輸出管理」に基づいて、武器や軍事転用可能な物・技術を核兵器等の大量破壊兵器の開発等を行っている国やテロリスト等の手に渡ることを防ぐために、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいて規制が行われています。この中で、生物兵器は「リスト規制」の対象で、外国への情報提供には経済産業大臣の許可が要ります。というか、武器輸出三原則(武器輸出を原則禁止)に引っかかります(京大の例をみる)。

外国から医学部の学部レベルの学生が来て、病院実習をする場合でもチェックが入ります。にもかかわらず、東大医科研教授でもある河岡氏がアメリカで生物兵器を研究すること(結果的にそうなっています)は、問題にならないのでしょうか?

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