ビマトプロスト(bimatoprost、ルミガン®)による睫毛(まつげ)の成長促進作用について

HighWireで、”Anywhere in Text”の欄に”eyelash”、”Title & Abstract only”の欄に”bimatoprost”を記入して、雑誌範囲”Include PubMed”でサーチしたところ、60の論文にヒットしました。

サーチの条件で”Anywhere in Text”を”eyelash growth”(phrase)に変更したところ、33の論文にヒットしました。主に睫毛の生育に注目した論文は13ありました。その中から、ビマトプロスト(ルミガン®)0.03%液を、上まぶたの睫毛の付け根付近の皮膚に1日1回局所投与した結果を報告した論文を以下に5つ紹介します。


Patient-Reported Outcomes of Bimatoprost for Eyelash Growth: Results From a Randomized, Double-Masked, Vehicle-Controlled, Parallel-Group Study(論文をみる

概要:Hypotrichosis(まつげの貧毛)の患者278例に対して、ビマトプロスト0.03%溶液と偽薬を用いた2重盲検試験を行った。開始後16週から、停止後4週まで、睫毛の長さ、密度、患者の満足スコアの3項目すべてにおいてビマトプロストによる有意な改善が認められた。

Bimatoprost 0.03% gel for cosmetic eyelash growth and enhancement.(論文をみる

概要:眼科疾患のない被験者52例についての2重盲検試験の結果。投与6か月後で、ビマトプロスト投与群では、まつげが平均0.77mm伸長したのに対して、コントロール群では、0.12mm短くなった。副作用はビマトプロスト群で25%、コントロール群で12.5%だった。眼圧はビマトプロスト群で2.04mmHg低下し、コントロール群では0.685mmHg増加した。

Enhancing the growth of natural eyelashes: the mechanism of bimatoprost-induced eyelash growth.(論文をみる

概要:アメリカでは2008年12月、ビマトプロスト0.03%液はまつげの貧毛治療に用いることが認められた。ビマトプロストは睫毛の毛包を活性化する(成長期の毛包の比率を増やす)ことによって睫毛を伸長する。同時にメラニン合成を活性化することで睫毛の黒さを増す。結論として、ビマトプロスト0.03%点眼液は睫毛の成長周期と毛包に影響することで、睫毛の成長を効果的かつ安全に増強する。

Safety, effectiveness, and subjective experience with topical bimatoprost 0.03% for eyelash growth.(論文をみる

概要:より長く、より高密度、より黒い睫毛を望む女性28例と対象とした美容目的の試験。開始後12週で全員が効果を認めた。また、深刻な副作用はなく、眼圧変化も1mmHg以下だった。
Eyelash growth in subjects treated with bimatoprost: a multicenter, randomized, double-masked, vehicle-controlled, parallel-group study.(論文をみる

概要:278例(ビマトプロスト投与群137例、コントロール群141例)を5か月間フォローした2重盲検試験。16週後、global eyelash assessment scoreというスコアで評価すると、ビマトプロスト群は78.1%、コントロール群は18.4%の対象者が1段階以上の睫毛の改善を示した。また、統計的にも投与群は睫毛の長さ、密度、黒さにおいてコントロール群よりも有意に高値を示した。投与群で有意に多く認められた副作用は結膜充血だった。結論として、ビマトプロスト0.03%液は効果的かつ安全に成人の睫毛を強化する。


上で紹介した論文で認められるビマトプロストの睫毛への効果はプロスタマイド受容体拮抗薬の投与で消失することから、プロスタマイド受容体を介したものと考えられています。

プロスタマイドは以下の図に示したように、プロスタグランディンにエタノラミンが付加された構造の脂質で、最近はその生理作用と共に作動薬の臨床応用が注目されています。興味深いことに、ビマトプロストと同様に眼圧低下作用をもつプロスタグランディンアナログの緑内障治療薬、ラタノプロストには睫毛の増毛効果はあまり認められないようです。