スタチンに代わるか?「PCSK9阻害剤」の学会報告

スタチン剤に代わるか、「PCSK9阻害剤」が有望性示す
以下は、記事の抜粋です。


高脂血症の新薬、PCSK9阻害剤が心血管系疾患に対して有望性を示した。米国心臓病学会(ACS)で発表された一連の臨床試験データでは、PCSK9を阻害する薬が複数の患者群のLDL値を半分から3分の2減少させた。

学会では、アムジェン、サノフィ、ファイザーが発表した。これらの企業はスタチン剤で制御不能な高脂血症患者数百万人を標的とする市場で争っている。

今回の結果は、これまでの小規模試験の所見と一致しており、PCSK9阻害剤がLDL値に長期的作用を持つことも示唆している。安全性の問題は特に認められなかった。

今回の報告に対する心臓専門医らの重要な疑問のうち主なものは、LDL値の劇的な降下が心臓発作や脳卒中などの心血管系疾患の深刻な病状を有意に減少させるかという点だ。3社はこの質問への回答を得るための治験を開始しているが、その結果は2018年になるまで取得できない見通し。

スタチン剤による治療は、心臓発作のリスクを減らす食事・運動療法後の戦略の主流となっている。 リピトールなどのスタチン剤は特許切れとなり現在米国では1錠あたり数ペニーの値段で入手可能だ。

最近改定された指針によると、米国人5000万人がスタチン剤の治療対象となり、その10%にあたる500万人以上が筋肉痛などの副作用でスタチン剤の服用が困難で、LDL降下目標値を達成するのに必要な用量を投与できない状態だと推定される。

PCSK9阻害剤には、アムジェンのエボロクマブ(一般名)、サノフィとリジェネロンのアリロクマブ(同)、ファイザーのボコシズマブ(同)が含まれる。これらはPCSK9を阻害するよう遺伝子組み換えされた抗体である。これらのPCSK9阻害剤は注射投与され、製薬会社は隔週や月1回の投与頻度を検討している。

アムジェンの高脂血症治療薬「デカルト」の患者901人を対象とした治験では、月1回、420ミリグラムの用量を投与した患者群ではプラセボ患者群と比べLDL値が57%減少した。アムジェンの別の治験では、遺伝的にLDLが高値の患者や、スタチン剤に耐えられない患者のLDL値を著しく降下させた。


PCSK9は、proprotein convertase subtilisin/kexin type 9の略です。関連記事にも説明があります。PCSK9はLDL受容体の分解を促進します(下図)。PCSK9 の機能を阻害することでLDL受容体の分解が抑制され、血中のLDLコレステロールは効率よく細胞内に取り込まれると考えられています。

現在のPCSK9阻害剤は、モノクロ―ナル抗体ですので経口投与はできず、記事に書かれているように注射での投与が必要です。スタチンはよく効くうえに安価なので、経口投与できる低分子のPCSK9阻害剤でもできない限り、スタチンにとって代わることは勿論、ブロックバスターになることも難しいと思います。

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