分子標的が5個以上ある抗うつ薬ボルチオキセチン(vortioxetine、ブリンテリックス®)

武田、大うつ病の治療薬を米で発売 デンマーク社と
ルンドベック の抗うつ薬、欧州委が販売承認 武田薬 と共同販売へ
以下は、2つの記事の抜粋です。


武田薬品とデンマークの製薬企業ルンドベックは1月22日、大うつ病の治療薬「ブリンテリックス(一般名ボルチオキセチン)」を米国で発売したと発表した。成人向けで、憂鬱な気分や興味の喪失などの症状の改善効果があるとされる。大うつ病は治療法が確立されておらず、同製品が有力な治療薬になる可能性がある。脳の神経伝達経路に作用して、伝達に関係する物質の流れを適正にして症状を改善する。また、再発を遅らせる効果も見込める。


デンマークの医薬品メーカー、ルンドベック は2013年12月27日、抗うつ薬「ブリンテリックス」について、欧州委員会から販売承認を得たことを明らかにした。今後、武田薬品工業と と共同で販売する。


ボルチオキセチン(vortioxetine)について少し調べてみました。論文/a>をみると、”multi-modal antidepressant”と書かれています。その理由は、5-HT3と5-HT7受容体のアンタゴニストで、5-HT1Bの部分アゴニストで、5-HT1A受容体アゴニストで、5-HTトランスポーター阻害作用などの多様な作用を1つの薬物が持つためだと思われます。

以前の記事でも書きましたが、これまで多くの薬理学者が考えていた「より選択的、より特異的な薬物が優れている。」というドグマは崩れつつあります。

大うつ病、躁うつ病、統合失調症などの精神疾患についても、特定の分子に特異的な薬物よりも多くの標的を持つ薬物が良く効くといわれ始めています(記事をみる)。

がんについても、がん細胞のDNAには非常に多くの変異があり、単一のキナーゼ活性の抑制だけよりも多くの種類のキナーゼを阻害する薬物の方が有効である証拠、例えばダサチニブの方がイマチニブよりも有効、が蓄積してきました。実際、BCR-ABL特異的だと信じられているイマチニブニも複数のキナーゼを阻害します。

今後は、新しい分子標的を狙った薬物だけではなく、ボルチオキセチンのように原因治療が困難な病気のQOLを標的とする対症的治療薬も開発の対象になると思います。

関連記事
悪性軟部腫瘍に対する初の分子標的薬パゾパニブはマルチキナーゼ阻害薬
慢性骨髄性白血病:イマチニブよりも良く効くダサチニブとニロチニブ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする