カネボウの美白化粧品による「まだら」事件は、本当に「美白効果」によるものだろうか?

美白化粧品被害 深刻な症状次々 消費者庁はカネボウの対応批判
以下は、記事の抜粋です。


カネボウの美白化粧品を使った人の肌がまだらに白くなる被害をめぐり、消費者庁は記者会見で「もっと早く公表すべきだった」と述べ、カネボウの対応を批判した。

カネボウは7月23日、被害を申し出た6808人のうち2250人が重い症状を訴えていると発表。4日までに2件だった消費者庁への相談も、23日午後までに37件増えた。

同庁に寄せられた相談からは深刻な症状がうかがえる。40代の女性は平成23年8月ごろから顔や首の皮膚が赤く腫れ、症状は腕にも広がった。同年末には顔の皮がむけ始め、4軒目の病院で肌がまだらに白くなる「白斑」と診断された。

2年前から化粧水や保湿クリームを使用していた60代の女性は、1年前に顔の両側が赤く腫れ、顔と首全体に赤い湿疹が出た。湿疹や水疱が手のひらや指の間にも広がり、かゆくて医師を受診したという。ステロイド剤を使用し症状は治まったが、髪の生え際に白斑が出た。顔の左ほおや首に白斑が出た40代の女性は、2つの病院に行ったが「元に戻らないとあきらめていた」という。

東京工科大応用生物学部の前田憲寿教授は、美白物質「ロドデノール」が「皮膚の特定部分で濃度が高くなり、継続使用することで影響が出た可能性がある」と指摘。その上で「有効成分の認可で参考にされるメーカーの有効性試験は例数が少なく、第三者機関で有効性・安全性の検証が必要」と話す。

日本皮膚科学会は診療可能な81の医療機関をホームページで公表、病院向けに診療の手引もまとめた。


「ロドデノール(rhododenol、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール (4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol:4-HPB))」を私が良く使う”HighWire“というサイトでサーチしましたが、1件もヒットしませんでした。ということは、美白効果についての英語の論文は多くの研究者が読むような科学雑誌には掲載されていないということです。

しかし、2008年3月26日のカネボウのニュースをみると、「新規美白有効成分『4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)』を開発 新規医薬部外品有効成分として厚生労働省の承認を取得」と書かれていますので、トクホなどと同様、化粧品の認可は甘いということを示唆しています。

同ニュースには、ロドデノールの作用メカニズムとして、①メラノサイトに作用してメラニン生成反応に関わる酵素「チロシナーゼ」を制御することでメラニン生成を抑制する ②周囲の細胞が放出するメラノサイト刺激物質を制御することによりメラノサイトの活性化を抑制する ③表皮細胞に受け渡されたメラニンの排出を促進する、と書かれていますので、上記の前田教授はこれらを鵜呑みにして指摘などをされたものと思われます。

私は、接触皮膚炎の後に白斑が生じる「炎症後脱色素斑」の可能性もあるという中村氏のご意見に賛成です。参考のために彼の記事「外来で『肌がまだらに白くなった』と訴えられたら」のまとめを下に紹介しておきます(記事をみる)。


その1
◆外来で「肌が白くなった」と言われたら、まずは頻度から判断すべし。
(1)老人性白斑
(2)(白)癜風
(3)単純性粃糠疹(ハタケ)
(4)尋常性白斑
(5)炎症後の脱色素斑 ⇒これにはアトピー性皮膚炎や、薬剤による接触皮膚炎後の白斑などが相当する。
以上の疾患を念頭に置く。いきなり「化粧品による白斑」と早合点しないこと。

その2
◆カネボウの美白化粧品による「まだら」事件は未解明であるが、軽度の接触皮膚炎の後に白斑が生じる「炎症後脱色素斑」の可能性もある。その治療について、まだはっきりとした指針はない。今のところ、原因物質の除去と「数カ月待つこと」である。


下の写真はカネボウから提供された肌がまだらに白くなったという被害者の写真です。よくみると白斑の周辺が赤くなっています。本当に美白効果(メラニン産生の抑制)だけで白斑が生じたのなら周辺が赤くなることはないでしょう。むしろ、赤いところは炎症の可能性が高いので、この写真は接触性皮膚炎説を支持していると思います。

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