アルツハイマー病の抗がん剤治療に「待った」――ベキサロテンはアルツハイマー病に効かない

アルツハイマー病の抗がん剤治療に「待った」、検証報告
以下は、記事の抜粋です。


抗がん剤の投与でアルツハイマー病の好転がマウス実験で見られたとする2012年発表の論文について、4つの研究チームが5月24日のScience誌で、個別の実験を通じて同様の結果を得ることができなかったことを報告した。

フロリダ大学David Borchelt教授は、研究を更に進めるために再現を試みたができなかったとした上で、「事実の公表は重要」としながら、「患者を考慮し、何らかの注意を呼び掛けるべきだろう」と続けた。

2012年2月に米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のGary Landreth教授らがScience誌に発表した論文によると、ベキサロテン(Bexarotene)として知られる抗がん剤を用いたマウス実験では、アルツハイマー病の顕著な特徴の1つである、タンパク質が凝集したアミロイド斑が数時間のうちに脳内で減少し始め、マウスの認知力が急速に回復したという。ベキサロテンには、アミロイド斑の分解・除去を助けるApoEの生成を促進する効果があると見られていた。

科学者らは、今回の報告が、ベキサロテンを承認適応症以外のアルツハイマー病の治療薬として処方しないようにするための医師への警鐘となるはずだとした。ベキサロテンは、治療抵抗性のある皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)として知られる皮膚ガンの治療薬として、1999年にFDAに認可されている。


Gary Landreth氏らがベキサロテンがアルツハイマー病に効果があるとしてScienceに発表した論文の記事はウォール・ストリート・ジャーナルなどに掲載され、本ブログでも紹介しました(記事をみる)。WSJの記事には以下のように書かれています。


ランドレス博士は、脳がより多くのアポEを生成できるようになれば、アミロイドベータの分解が促進されるだろうと考えた。

そこで同博士はベキサロテンに着目した。ベキサロテンはアポEの作用を助けるタンパク質を活性化することで知られる経口薬だ。同博士は2009年、研究室に新しく入ってきたばかりの大学院生に対し、「アルツハイマー病マウス」に同薬を投与するよう依頼した。すると、「3日後には、脳のアミロイドベータがほぼ消えていた」という。その当時を振り返って、同博士は「前例のないことだった。だから最初は院生が実験を台無しにしてしまったのかと思った」と語った。

今回の研究で、ランドレス博士のチームは100匹以上のマウスを対象に同じような試験を行った。アルツハイマー病のような症状を示すマウスにこの薬を投与すると、マウスの認知機能、社会的機能、それに嗅覚的機能は急速に改善した。


この記載から、本実験の再現性が怪しいなどと疑うことはほとんど不可能です。

ベキサロテンなどのがん関連4製品を米ライガンド社から2億5百万ドルで買収し、全世界での独占権を獲得したエーザイにとっては、突然の喜びと失望の連続だったでしょう。院生が実験を台無しにしたのでなければ、誰が台無しにしたのでしょうか?

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