そもそも、効くサプリはあるのか?

そもそも、効くサプリはあるのか?
以下は、記事の抜粋です。


内閣総理大臣の諮問機関「規制改革会議」が、いわゆる健康食品の有効性(機能性)の表示規制を緩和しようと検討している。

私は基本的には、規制緩和による民間活力の喚起には賛成派だが、今回のように密室審議で、重要な議論が進むことには賛成できない。それに、規制緩和は企業の自由度を上げビジネスチャンスを広げる反面、企業の自己責任がより大きくなるが、「責任の拡大」を意識している企業がどれほどあるか、と考えた時、懐疑心を抑えられない。昨今の健康食品、なにが問題なのか。事例を挙げたい。

抗酸化物質の効果に、疑念高まる
抗酸化物質への疑念が大きく高まっている。これまでは、フリーラジカルが細胞を損傷し老化をもたらすので、抗酸化物質を摂取して、その抗酸化力によりフリーラジカルを非活性化しようと言われてきた。だが、前提となるフリーラジカルの悪影響が、疑われるようになってきている。

フリーラジカルは、健康を保つための一定の機能も持っているのではないか、というのだ。「Scientific American」が2013年2月号で「The Myth of Antioxidants」という記事でまとめている。実際、多数の臨床試験のレビューでも、抗酸化物質サプリメントが死亡率リスクを下げず、むしろ上げるものもあることが明らかとなっている。

そのため、学会等でも抗酸化物質サプリに対して、明確に「勧めない」と表明しているところは多い。米国心臓協会は、ビタミンとミネラルのサプリメントについて、ごく一部の例外を除いて勧めない、としている。UCバークレーが開設しているサイトでも、数々の抗酸化物質サプリの効果に根拠がないことが、説明されている。

抗酸化力の「モノサシ」も役立たない
しかも、抗酸化力評価の指標として用いられてきた「ORAC値」(Oxygen Radical Absorbance Capacity:活性酸素吸収能力)について、米農務省省は昨年データベースを取り下げた。米国では、このORAC値を抗酸化の根拠として販売していたサプリメントが多かったが、根本から否定された。

サプリ、「いわゆる健康食品」のエビデンスは?
ビタミン類でさえ、やっと今、確かなこと、つまりは「効果がないかも」「リスクが上がるかも」ということが分かってきたのだ。ビタミン類に比べれば研究の質も量も圧倒的に低いほかの抗酸化物質は、大丈夫なのか?

抗酸化物質だけでなく、ほかの機能性を期待される物質のエビデンスはどうなのか?いわゆる健康食品の中のエース格であった抗酸化物質ですら怪しいのだ。ところが、規制改革会議ではこうした基礎情報は顧みられず、実情にそぐわない制度を議論しているように見える。

業界への不信高まる
業界は、自分たちに都合の良い情報しか規制改革会議で提供していないように見える。消費者庁が2012年4月に公表した「食品の機能性評価モデル事業」は、業界団体の「日本健康・栄養食品協会」がまとめたものだ。この内容、至るところでけちょんけちょんに批判されている。

例えば、清水俊雄・名古屋文理大教授は消費者委員会で、評価の材料として取り入れてはいけない論文を含めて評価してしまっていることや、検索担当を健康食品に関連する企業の社員が行っていて適格性がないことなど、厳しく指摘している。

まじめな企業が出てきているような気がするが
これまで書いたことと裏腹のようだが、いわゆる健康食品をもっとエビデンスのしっかりとある、消費者に真の利益をもたらすものに変えて行こうと努力する企業が出てきている、と個人的には思える。

今後、本当に機能性を発揮できる成分、製品が確立されるかもしれない。そのような研究の芽を摘んではならないし、エビデンスのある産業育成を常に視野に入れるべきだ。だからこそ、業界が、規制改革会議主導の新制度、しかも第三者認証のような方式によって、おかしな形でスポイルされてしまうのでは、という不安が先に立つ。

まずは、現行制度の改善を
規制改革会議の大きなポイントは、国際的整合性らしい。規制改革会議は規制緩和がテーマだが、私が見る限り、健康食品に関しては米国もEUも逆に、公的関与を急速に強めている。とくに、米国は緩めて問題が続出し、近年は制度変革を迫られているように見える。悪しき規制緩和に倣う必要はないはずだ。


上の記事は、「科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体(Food Communication Compass)」が出している無料ウェブ媒体「FOOCOM.NET」の編集長、松永和紀氏が書いたものです。

規制改革会議、サプリ論議は迷走中」という特集も組まれていますので、興味のある方は是非お読みください。問題は、「規制改革会議」が「機能性表示」の条件を今よりも緩和しようとしているところにあるようです。以下は、この特集からの抜粋です。


その保健効果は非常に限定的であるのに、「許可を受けた表示内容」を逸脱した、例えば「脂質過多の食事をしてもこれさえ飲めばそれがチャラになる」と錯覚させる宣伝広告が繰り広げられているのである。今以上の簡易さで「機能性表示」を行うことが、「国民のセルフメディケーションの増進にも資する」と本気で考えているとしたらずいぶんおめでたい話である。

「健康食品」の宣伝広告でよく見かける常套句、「医薬品ではありません。食品だから安全です」に根拠はない。たとえ「それ」が食品そのものや食品に含有されている成分であっても、抽出・濃縮・乾燥等によって「それ」を大量に摂取すると、もともとの食品をたくさん食べることでは起こりえない有害事象を引き起こすことがある。βカロテン摂取による喫煙者における肺がん罹患率増加、アマメシバによる閉塞性細気管支炎、αリポ酸錠剤摂取によるインスリン自己免疫症候群、アルコール抽出緑茶成分の錠剤や共役リノール酸摂取による重大な肝障害等々、報告例は少なくない。

また、「健康食品」の宣伝では「こんな方におすすめ」として「野菜不足が気になる方・たばこが止められない方・運動不足が気になる方・宴席が多い方」等々をよく見かける。このような文言は、この「健康食品」を使えば「野菜摂取量を増やす・禁煙する・運動をする・宴席回数を減らす」等の抜本的な改善は無用で問題解決できると誤解させ、不健康状態を継続させることになる。

食生活、あるいは食事だけで健康を維持・増進できるわけではない。ましてや食品中の特定成分にのみ着目する「機能性表示」は誤ったセルフメディケーションに導く。それを利用すると「健康が買える」かのような欺瞞に満ちた製品を流通させることは「国」がインチキに加担することである。

最大の問題は、「いわゆる健康食品、サプリメントを活用すると、医療費削減の可能」という主張が、何の検証もなく「正しい」とされていることではないか。


結局、政府としては景気対策の1つとしてサプリメント業界を活性化したいのだが、今の「トクホ」の条件が厳しすぎて困っているのでしょう。そこで、「規制緩和」という錦の御旗を持ち出して「機能性表示」の条件を緩和しようとしているのでしょう。松永さん達はこれに対して反対の立場を表明しています。どちらにしても、議論の中で上記のような「真実」がみえてくるのは良いことだと思います。

ここまでの文章と矛盾するかのように思われるかもしれませんが、私は原則として、規制緩和には賛成です。機能性表示でも「ウソ」ないのであれば規制緩和しても良いと考えています。現状でも、「食品だから安全」とか「こんな方におすすめ」などの「機能性表示」は氾濫しているわけで、規制緩和されようがされまいがあまり大勢に影響がないでしょう。ネットなどでこれだけ多くの情報が得られるのに、サプリを飲み過ぎて病気になる人がいるとすれば、それはその人の自己責任でしょう。

最近、日本薬剤師会が一般用医薬品のインターネット販売全面解禁に反対して、「『お薬の安心』が、自己責任になっちゃうの?」という全面を使った意見広告を日経、朝日、毎日などに出しました。私は、自己責任になって当然だと思います。

食品に含まれる機能性成分も薬局で買う医薬品も、「効果のあるものには必ず副作用があるはず」という科学的認識があれば、バカなめには会わないはずです。消費者は、巷にあふれる限りなくゴミばかりに近い情報の中から、正しい情報をピックアップできる科学的判断力を身につける必要があります。

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コメント

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    はじめまして。
    サプリの場合は 病気を治すのではなくて
    健康維持が目的なので
    飲みたい人が飲む分には問題ないんではないかしら。
    漢方も 自分でぐつぐつ煮込んで作るのを熱いうちに飲むのは とてもいいもんです。
    第一に落ち着きます。
    漢方薬局が少なくなっていくので通販で買うのですが
    対面式の売り方があればいいのに、  
    近所の薬局もやめてしまったし、
    私も 庭にハーブとか植えたりしてるんだけど
    盗まれるし、  ったく、
    トクホの油で全身発疹できるので
    トクホとか、サプリはあまり使いません。