抗不安薬の排水混入で魚の性格が一変

抗不安薬の排水混入で魚の性格が一変、大胆に 米学会発表

以下は、記事の抜粋です。


排水に混入した抗不安薬によって、自然環境にすむ魚の性質が大胆になり反社会性が高まることが分かったと、スウェーデンの研究チームが2月14日に発表した。深刻な生態学的結果を招きかねないと警鐘を鳴らしている。

スウェーデンのUmea大学の研究チームは、抗不安薬のオキサゼパム(Oxazepam)製剤にさらされた淡水魚の一種パーチが、群れを離れて1匹だけで生きる傾向が高くなることを発見した。オキサゼパムは他のさまざまな薬剤と同様、人間の排泄物に含まれて自然環境に排出される。

15日のScience誌に掲載される論文で、主著者である生態学者のTomas Brodin氏は「通常、パーチは用心深く、群れで餌を追う。これは、よく知られている存続と繁栄をかけた戦略だ。しかし、オキサゼパム(が混入した水)の中を泳いでいるパーチは著しく大胆さを増す」と説明。群れを離れることによって、捕食者に食べられてしまう危険性が増すと指摘している。

研究チームは、スウェーデン国内の人口密集地域の排水と同程度の薬物濃度の水でパーチを飼育する実験を行った。魚たちは大胆さを増しただけでなく、食事のペースも早くなり、この点も生態系のバランスを崩しかねないと懸念されている。


元論文のタイトルは、”Dilute Concentrations of a Psychiatric Drug Alter Behavior of Fish from Natural Populations”です(論文をみる)。

論文には、1リットルあたり1.8マイクログラムのオキサゼパムでパーチの活動性が増加し、社会性が低下、摂食頻度の増加がみられたと書かれています。

血中ベンゾジアゼピン濃度に関する文献によると、オキサゼパムの血中有効治療濃度範囲は、1リットルあたり0.15~2ミリグラムです。

この論文を取り上げたNature Newsによると、生活用水から流れた薬物が淡水魚に影響する例としては、避妊ピル中に含まれる17-β-estradiolと抗うつ薬のフロキセチン(fluoxetine、Prozac®)がヒメハヤの一種の行動に影響したり、一般的な抗炎症薬であるイブプロフェンがゼブラフィッシュの生殖行動を抑制することなどが既に知られているそうです。これらの結果は、ヒトが用いる薬物が淡水魚の生存を直接脅かさなくても、生態系に影響を及ぼす可能性を示すものだとしています。

ヒトの血中濃度の約1/1000の量で行動に影響するとはにわかには信じがたい話ですが、Scienceに掲載されているので、たぶん本当なのでしょう。

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