精神疾患の診断マニュアル(DSM)が第5版に改訂

精神疾患のマニュアルが改訂:病気の定義とは

以下は、記事の抜粋です。


心の健康に関係するあらゆる疾患の参照マニュアルとなる、『精神障害の診断と統計の手引き』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM)の第5版が承認された。

以下が、DSM第5版の主要な点のいくつかである。

この見直しにおいて最も論議を呼んでいる点が、アスペルガー症候群である。これは社会生活への適応に関する精神障害のごく軽度なもので、第4版では独立した番号をもっていたが、自閉症スペクトラムに組み入れられるようになった。

さらに、摂食障害は、補遺から、普遍的に認知されている病気を収録しているDSM本体に移された。この変更は、新しい市場をつくり出すだろう。今後、彼らは際限なく食べる患者たちのために医療保険の支払いを申請することができるだろう。

鬱病の定義は、死の悲しみに関する例外を取り除いて、さらに拡大された。このため、精神科医たちは、身近な人を失ったばかりの人々にも、鬱障害の診断をすることができるだろう。

破壊的気分調節不全障害(DMDD: Disruptive Mood Dysregulation Disorder)も病気のなかに含められた。これは、言い換えれば、「持続的に癇癪を起こし、1年以上の間、週に3回以上の頻度で突然の気分の変化がたびたび起こる子どもたち」に下す診断である。以前、DMDDは、「気まぐれの症状」にすぎないと評価されていた。

一方、疾患のコーパスから除外されたままなのが、セックス依存症である。アメリカ精神医学会の運営委員会のあるメンバーによれば、「十分な臨床学的証拠がない」からだ。当然のことながら、問題はやっかいである。13年の再検討と改善のあとで、議論の時期が正式に始まった。


精神科の病気の診断は、他科の病気と異なり、患者から得られた検査データなどによらず、症状と問診だけによって行われることがあります。これをできるだけマニュアル化し、統計に用いる際に客観性を持たせるためにアメリカ精神医学会が決めた診断基準がDSMです。同様の目的でWHOが決めたものがICD-10です。

精神的状態によって社会に適応できない状態を病気と診断するわけですから、社会によって精神病の定義は変わります。現在はもうないと信じたいですが、過去においては反体制的な政治犯を精神病院に閉じ込めていた国もありました。

一方、上の記事のように、病気と認定されるかされないかで医療保険で投薬などの治療がカバーされるかされないかが決まることが多いために、市場や経済への影響も出てきます。

私が精神科医をしていた頃、診断科学が発達すれば症状と問診だけで診断するような時代は終わるだろうと言う人もいましたが、私は永遠に終わらないと思っていました。今回のDSMの改訂を見て、今後もこの状態が続くことを確信しました。

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