家電業界の既存ビジネスモデル「値下がりを前提に短命の新製品を立ち上げ利益を確保」は終了か?

こんなに安く!? アマゾン価格で値切ってみた

以下は、記事の抜粋です。


11月19日号の日経ビジネス「時事深層」で、「家電量販、『アマゾン価格』に怒り」という記事を書いた。想定以上の反響があり、大変ありがたく思っている。

だがこの記事は、読者に少なからず誤解も生んだようだ。記事に対するウェブサイト上の書き込みには「アマゾンはそんなに安いのか」「実店舗を持つ家電量販はネットに勝てない」と、いったものが溢れた。必ずしも間違った感想というわけではないが、私が取材した中での実情からは少し距離がある。

実際の調査では、「価格.comで家電量販店よりアマゾンの方が大幅に安い機種」を探すのが意外と苦労する。200機種以上の家電製品を調べたが、ネットの売れ筋商品のうち、表示価格についてアマゾンが優位だったのは約1割だった。

大手家電量販の事業規模はアマゾンの国内の家電売上高に比べて何倍にも及び、メーカーからの仕入れ条件がアマゾンに劣るとは考えにくい。店舗の運営コストや人件費があっても、本気になった大手家電量販店が一部の製品について「ネット並み」の価格を出すことは不可能ではないようだ。

だからといって家電量販が安穏としていられるわけではない。問題は利益だ。

家電製品は、1年に1度程度の頻度でモデルチェンジが繰り返される。大きな変更・機能向上がなくても、「新製品」という名のもとに価格を引き上げ、平均単価の維持を狙う。型落ち品は値下げしてでも早々に処分し、その分利幅の厚い新製品を多く売ることで利益を確保する。それが家電量販と家電メーカーの手法だ。

大手メーカーの業績が急速に悪化するなか、研究開発費がこれまで以上に絞り込まれることは確実だ。値下がりを前提に短命の新製品を垂直立ち上げし、利益を確保するという収益モデルは限界を迎えつつある。

アマゾンが家電量販店に衝撃を与えているのは、安値につられた顧客の流出を招くからでは必ずしもない。既存のビジネスモデルのまま、利益を確保し続けられる時間が、それほど長くはないことをまざまざと見せつけられるからだ。


以前に紹介した関連記事でも、同じ著者の記事をみて「なるほど」と思っていたのですが、この記事をみてまた、「なるほど」と思ってしまいました。問題は、単純な価格競争ではなかったようです。

本題と関係ありませんが、「新品を次々に出して儲ける」という家電業界のビジネスモデルが、「新薬を次々と出して特許切れまでの間に儲ける」という製薬業界のビジネスモデルに意外に良く似ていることに驚きました。また、それぞれの事情は異なりますが、これらのビジネスモデルのまま利益を確保し続けられる時間が、それほど長くはないことまで良く似ていることにも驚きました。

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