取材を生業(なりわい)としていれば「呼吸をするようにウソをつく研究者」にわりとよく遭遇するらしい

森口尚史さんのウソで露呈した、マスコミの“弱点”とは?

以下は、記事の抜粋です。


iPS細胞をめぐって、読売新聞が森口尚史さんにダマされたなんだという騒動がようやく落ち着いてきた。マスコミは森口さんのことを稀代の詐話師みたいに大騒ぎしたが、そんなたいそうなタマではなく、取材を生業(なりわい)にしていれば、わりとよく遭遇するタイプの人という印象だ。

有名になりたいとか、カネを引っ張りたいとか、相手より優位に立ちたいだとか理由はさまざまだが、世の中には呼吸をするようにウソをつく人がいる。記者をやっていると、そういう人たちからわんさかと情報提供がある。

ハーバード大とか東大だとかいう「肩書き」にダマされたという話だが、現実の取材現場では、そういう権威的な人たちの方が確信犯的にウソをつく。

数年前、某有名大学病院のエラい先生が、画期的な研究に成功をしたというので話を聞きにいった。「専門記者じゃないとなかなか分からないだろうが……」なんて小難しい話をして得意気だったが、その後よくよく調べてみたら、実際にはあまり画期的ではなく、2年前に自身が学会発表したモノの焼き直し。おまけに、その研究には共同研究者がいて、特許をめぐって訴訟になっていた。

そういう不都合な話は一切言わない。もちろん、記事にはしなかったが、どうやらそのセンセイは、スポンサー企業から研究費をせしめるため、記事で報じられるという「既成事実」が欲しかったらしい。

研究者というのは、大学内での立場やら研究費やらさまざまな“しがらみ”に縛られている。だから、自己保身というレベルではなく、関係各位の利益や生活を守るためにウソをつく人がいる。


この記事は窪田さんという文学部を卒業後マスコミ勤務などを経て今はノンフィクション作家として活動している30代後半の人が書いたものです。

上に紹介したのは記事の1/3ぐらいで、残りの2/3では「そんなわりと“よくある話”にも関わらず、なぜ読売新聞科学部という一流専門記者らは森口さんにあっさりとダマされたのか。後追いをした共同通信や産経新聞といったマスコミもなぜうさん臭いなと気づかなかったのか。」という疑問を提起し、その答えとして、「マスコミがあまりにもマスコミを信頼していることだ。」という面白い持論を展開されています。

その持論は別にして、私は上に紹介した「有名になりたいとか、カネを引っ張りたいとか、相手より優位に立ちたいだとか理由はさまざまだが、世の中には呼吸をするようにウソをつく人がいる。・・・ハーバード大とか東大だとかいう『肩書き』にダマされたという話だが、現実の取材現場では、そういう権威的な人たちの方が確信犯的にウソをつく。」という部分に感心しました。

権威的な立場にある人たちがすべてウソをつくわけではなく、ウソが上手で権威的な立場に這い上がったような人もいるということだと思います。そういう人は積極的にマスコミに接近するので、窪田さんのような人はよく遭遇するのでしょう。

しかし、アカデミアにはウソをつかない真面目な人も大勢います。というか、そういう真面目な人がほとんどです。問題は、「呼吸をするようにウソをつく人」をどう見分けるかです。上記の「マスコミに自分から売り込む」の他、「教授にしてやったとか研究費をあててやったとかを恩に着せる」、「他の研究者を子分扱いして褒めたり脅したりする」、「有名人、マスコミ、役人などとのつながりを誇示する」、「法律などの知識を振り回して何も知らない科学者を罵倒する」、などなどが鑑別点だと思います。

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