ヘビの毒から鎮痛効果のあるペプチドを発見―マンバルジンの標的はASICチャネル

ヘビの毒から鎮痛効果のあるペプチドを発見、仏研究チーム

以下は、記事の抜粋です。


アフリカに生息する毒ヘビ「ブラックマンバ」の毒から、副作用の無い鎮痛剤の開発に応用可能なペプチドを発見したとする論文を、フランスの研究チームが10月3日のNature誌に発表した。このペプチドを使えば、モルヒネよりも安全な鎮痛剤を作り出すことができるかもしれないという。

研究チームはマウスで、ブラックマンバの毒から分離されたペプチドが、モルヒネなどのオピオイド化合物がターゲットとするのと同じ脳内受容体と結合することを発見した。オピオイド化合物が時折引き起こす呼吸困難や吐き気といった副作用が無いほか、依存作用や薬物乱用のリスクも低いという。

論文著者のAnne Baron氏が語ったところによると、「マンバルジン(mambalgin)」と命名されたこのペプチドをマウスに投与したところ、毒作用を引き起こさずに痛みを大幅に軽減することができた。

モルヒネは激しい痛みを和らげる際に最適な薬とされることが多いが、幾つかの副作用がある他、依存を生むリスクもある。Baron氏は、研究チームは鎮痛剤への応用を非常に有望視していると語った。特許は既に取得済みで、現在は製薬会社が新薬に応用可能かどうか調査しているという。


元論文のタイトルは、”Black mamba venom peptides target acid-sensing ion channels to abolish pain”です(論文をみる)。

上の記事では、マンバルジンは、「モルヒネなどのオピオイド化合物がターゲットとするのと同じ脳内受容体と結合する」と書かれているので、モルヒネやエンドルフィンが結合するオピエト受容体に結合するのかと思いましたが、違うようです。

マンバルジンの鎮痛効果は、オピエト受容体アンタゴニストのナロキソンでは拮抗されません。マンバルジンは、中枢でも末梢でもAcid-sensing ion channels (ASICs)というイオンチャネルに結合してその働きを阻害すると考えられています。

私は、ASICチャネルが痛みの発生において重要な役割を果たしていることをこれまで全く知りませんでした。この話が本当なら、ASICチャネル阻害薬を開発することで、依存性がなくモルヒネ並みに強力な鎮痛薬ができる可能性があると思います。

ところで、National Geographicによると、ブラックマンバは行動が素早く、世界で最も多くの人間の命を奪った毒ヘビとして知られているそうです。攻撃する度に、強力な神経毒と心臓毒を大量に噴出し、抗毒血清が開発される以前は、このヘビにかまれると、およそ20分以内で確実に死に至ったそうです。痛みもなく死ぬのでしょうか?

Black mamba (National Geographicより)

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