乳がんの遺伝子異常は4種類に分類される―トリプルネガティブ型は卵巣がんに類似している

Breast Cancer Mapping Reveals Four Distinct Types
以下は、記事の抜粋です。


The Cancer Genome Atlas (TCGA) networkというアメリカを中心とした91施設の共同研究により800例の乳がんゲノムが解析された結果、乳がんの遺伝子異常は非常に多様だが、4つのサブタイプに大別されることが明らかになった。特に、1つのサブタイプは卵巣がんと非常によく似た遺伝子異常を示すことが明らかになった。
この結果は、9月23日にNatureのオンライン版に発表された。研究者らは、彼らの発見が乳がんの理解と患者治療の選択肢を増やすと考えている。

4種類とは、HER2-enriched、Luminal A、Luminal B、Basal-likeである。この中で、エストロゲン受容体ポジティブな Luminal Aサブタイプは、症例数も死亡者数も全米で一番多いタイプの乳がんである。研究によると、このサブタイプの遺伝子変異が最も多様で、それぞれの遺伝子のどんな変異が Luminal Aサブタイプに関連するかが明らかになった。これは、それぞれの変異に対する分子標的治療の可能性を示すもので、患者にとって朗報である。

もう一つの大きな発見は、basal-like(「トリプルネガティブ」ともよばれる)サブタイプの乳がんと高悪性度漿液性卵巣がんの比較から、これら2つのがんの分子レベルの性質がよく似ていることが明らかになったことである。すなわち、これらのがんの原因が関連しており、同じ薬物で治療できることを示唆している。
著者の一人は、トリプルネガティブの乳がんは、解剖学的には同じところに生じるけれども通常の乳がんとはまったく違う病気だと考えられると述べている。


元論文のタイトルは、”Comprehensive molecular portraits of human breast tumours”です(論文をみる)。

研究グループは、1)genomic DNA copy number arrays、2)DNA methylation、3)exome sequencing、4)messenger RNA arrays、5)microRNA sequencing、6)reverse-phase protein arraysの6種類の方法で解析を行い、解析結果を統合することで、4つのサブグループにおける多くの特異的な変異やコピー数変異を見出しました。

具体的には、TP53、PIK3CA、GATA3の3遺伝子の変異がすべての乳がんに10%以上の確率で認められました。しかし、サブタイプ特異的な変異も多く認められ、luminal Aサブタイプでは、GATA3、PIK3CA、MAP3K1などにおける変異が高頻度で認められました。

また、HER2-enrichedサブタイプ中にも、HER2/リン酸化HER2/EGFR/リン酸化EGFRのいずれかに富むものがあることがタンパク質解析により明らかになりました。
これらのサブタイプやサブタイプ中の遺伝学的な多様性が、臨床症状や治療に対する反応性に対応すると考えれば、今後の乳がん治療は大きく変化することが予想されます。乳がんの研究と臨床上、極めて重要な進歩だと思います。

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