ブロモドメインのアセチル化ヒストン認識を阻害する低分子化合物が男性用避妊薬の可能性

男性用避妊薬の実現に期待、マウスの実験で効果確認

以下は、記事の抜粋です。


米国の研究チームが8月16日、男性用経口避妊薬の実現につながる可能性がある物質を発見したことを、Cell誌の電子版で明らかにした。

研究室での実験では、この物質を与えられた雄マウスは、精子の数や運動能力が大きく低下し、生殖能力が完全になくなったとしている。男性ホルモンの働きや性衝動には影響しないという。

著者のJames E. Bradner博士は「(実験に使った)マウスは通常の性行動を示し、交尾頻度も正常だった」と説明。また、この物質に副作用は特に見られず、投与を中止すると生殖能力は元に戻ったとしている。研究チームは、今回見つかった効果は「人間の男性にも置き換えが可能であり、男性用避妊薬として今までにない有効な方法だ」と自信を示している。


元論文のタイトルは、”Small-Molecule Inhibition of BRDT for Male Contraception”です(論文をみる)。

“JQ1″とよばれる低分子量化学物質は”BRDT”とよばれる精巣特異的に発現するタンパク質に結合します。BRDTは、減数分裂後の精子成熟期に核に局在し、ヒストンのアセチル化されたリジン残基を認識するブロモドメインを持っています。精子形成時に起こるクロマチン再構築に必須のタンパク質だと考えれられています。

BRDTのブロモドメインを除去したマウスが不妊になることから、その重要性はこれまでも知られていました。今回の実験で用いられたJQ1は、BRDTのアセチル化リジン結合ポケットがアセチル化ヒストンH4と反応することを阻害して精子形成を抑制すると考えられています。「エピゲノムリーダー阻害薬」ともよべるものです。

男性がコンドームや膣外射精などの不確実な方法を用いることで避妊しているカップルは多いので、副作用の少ない男性用避妊薬へのニーズは大きいと思われます。ホルモンレベルにも影響せず、次世代への影響もないJQ1をリード化合物とした男性用避妊薬の開発が期待されます。

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