「ヒ素で生きる細菌」のDNAにはヒ素がなかった

ヒ素細菌のDNAにはヒ素がなかった―ライバル研究者らが発表

以下は、記事の抜粋です。


今週からアトランタで行われている、NASA主催の宇宙生物科学会議(Astrobiology Science Conference)に出席しています。本日、会場では「ヒ素細菌のDNAにはヒ素がなかった」とする研究発表がありました。

2010年末にNASAのWolf-Siomon博士らが大々的に発表した、細菌GFAJ-1がヒ素をDNAの部品として使うことができるという発見。この発見の報告直後から、データの信憑性や実験方法の問題について、多くの指摘がされてきました。そしてついに、他の研究者らによる追試がなされ、GFAJ-1はDNAにヒ素を取り込まないとする結果が発表されたのです。

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学のRedfield博士たちは、「GFAJ-1のDNAにヒ素は取り込まれない」とする研究結果をまとめ、無審査のオンラインジャーナルArXivに掲載し(論文をみる)、さらにScience誌からも掲載について好意的な返事を得ているそうです(記事をみる)。


要約すると、Wolf-Siomon氏らの実験では、リンを排除したとする培地にもわずかな濃度(3µM)のリンが含まれていたようです。GFAJ-1菌は、わずかな濃度(3µM)のリンと多量のヒ素(40mM)を含む培地でも増殖したそうです。おそらく、GFAJ-1菌はヒ素ではなく、わずかに含まれたリンを利用して生育したのでしょう。

また、Wolf-Siomon氏らはGFAJ-1菌から砒素入りのDNAを抽出したと主張していますが、これは培地中にあった大量のヒ素が混入したのだろうということです。倍地中の成分が混入しにくい方法でDNAを抽出すると、Wolf-Siomon氏らが用いたよりも感度の高い方法で測定してもヒ素は検出できなかったそうです。

残念ながら、世紀の大発見ではなかったようですが、私はこのような挑戦的な研究、そしてそれが許される環境が重要だと思います。GFAJ-1菌の名前は、”Give Felisa a Job(FelisaはWolf-Siomon氏のfirst name)”に由来しているそうです。氏が早く、落ち着いて挑戦的な研究ができる職をみつけられることを祈ります。

関連記事
「砒素で生きる細菌」に疑問の声
ヒ素を「食べる」細菌の発見は、生物学の常識を覆すような「すごいニュース」なのか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする