米ジェロン、ES細胞由来の治療薬の臨床試験を打ち切り

米ジェロン、ES細胞由来の治療薬の臨床試験を打ち切り

以下は、記事の抜粋です。


ヒト胚性幹細胞(ES細胞)を使った世界初の臨床試験を実施していた米バイオテクノロジー企業ジェロン(Geron)は11月15日、高コストのため臨床試験を中止すると発表した。全従業員の38%にあたる66人の常勤職員を削減することも併せて発表した。

同社は2010年10月、脊髄を損傷した患者を対象にES細胞由来の治療薬「GRNOPC1」の臨床試験を開始した。安全性の確認を主目的においた第1相の臨床試験には、これまでに4人の患者が参加し、いずれも深刻な副作用は認められなかったが、同社は声明で、「コストの戦略的見直しと複雑な規制」を理由に、「臨床試験への患者の登録を打ち切る」と発表した。

John Scarlett最高経営責任者(CEO)は、「ES細胞事業からの撤退は苦渋の選択だ」と語るとともに、同社が1999年に始めたES細胞事業は世界的にみても優れていると述べ、この事業に費用を出すパートナーを募っていることを明らかにした。同社は今後、新しいがん治療薬の開発に重点を置くという。


Geron社は、Wisconsin大学のJames Thomson氏が1998年にヒトES細胞を確立した技術と特許をすべて取得してスタートしたベンチャー企業です。

元記事にも書かれていますが、Geron社の撤退によって、ES細胞を用いた臨床試験は、米バイオ企業Advanced Cell Technologyのものだけになりました。これは、失明の危険性がある眼病患者と黄斑変性症の患者に対し、網膜細胞に分化させたES細胞を使う臨床試験です。

Geron社の臨床試験というのは、事故などによる脊髄損傷患者の脊髄に神経細胞に分化させたES細胞を注入するというものだと思われます。これまで4例治療して、安全上の問題はないが、症状の改善も認められなかったそうです。

多くの新聞記事では、科学的な問題ではなく経済的な問題で、本臨床試験が中止されたと報道されていますが、ScienceInsiderでは、iPS細胞などの”adult stem cell”技術の発展によって、Geronが取得したヒトES細胞関連の特許がほとんど無意味になってしまったとの意見が書かれています。私もそう思います。ただし、最近では線維芽細胞をiPSを介さず直接神経細胞に変換する技術も出てきていますので、iPS陣営も安穏とはできないとも思います。

関連記事
アルツハイマー病患者の皮膚線維芽細胞を機能的な神経細胞に(iPS細胞を介さず)直接変換
マウスの皮膚細胞から神経細胞を直接作製、iPS細胞使わず

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする