前立腺がんPSA検査「全年齢で推奨せず」 

前立腺がんPSA検査「全年齢で推奨せず」 米政府案

以下は、記事の抜粋です。


前立腺がんの検診で使われているPSA検査について、米政府の予防医学作業部会は10月7日、すべての年齢の男性に対して「検査は勧められない」とする勧告案をまとめた。2008年の勧告では75歳以上で検査を勧めていないが、対象を全年齢に広げることになる。

5つの大規模臨床試験の結果を分析した結果、年齢や人種、家族歴にかかわらず、PSA検査が死亡率を下げるとの証拠は見いだせなかったと結論づけた。ただ、自覚症状があったり、前立腺がんが強く疑われたりする場合は含まれていない。

米国ではPSA検査は50歳以上の男性に広く普及している。ただ検査で見つかる前立腺がんの多くは進行が遅く、放置しても寿命には関係しない。必要のない治療等を受けて、勃起障害や尿漏れなどの後遺症が残る人もいる。


PSAはProstate Specific Antigen(前立腺特異抗原)の略で、前立腺から分泌されるセリンプロテアーゼです。PSAは、前立腺から精漿中に分泌されますが、前立腺に癌や炎症などの疾患があると血液中にもPSAが浸出します。

このように、PSAは前立腺癌の腫瘍マーカーで、その値が高くなるほど癌の可能性は高くなります。しかし、他の原因で死亡した日本人男性の前立腺を調べると、70歳以上で2~3割に前立腺癌が発生しており、高齢者に発生する前立腺がんの25%から半数程度は、寿命に影響を及ぼさないと考えられています。というのは、前立腺がんの大部分は進行が遅く、死に至るのはわずか3%だからです。

つまり、高齢者の場合、PSA検査が高値を示しても、バイオプシー(生検)やその後の治療を積極的に行う意味がない症例がかなり存在することになります。しかし、日本の現状ではPSA検診で高値を示した患者には生検が指示され、生検で癌細胞が陽性であれば治療が行われます。治療は、手術、放射線照射などの侵襲的なものです。これらが、過剰検査・過剰治療だとして批判されています。

ちなみに、現天皇はPSAの高値により前立腺がんがみつかり、2003年に前立腺の全摘出術を受けています。当時の報道では、高分化型で転移はないということでした。過剰検査・過剰治療の可能性はあると思います。

一方、PSA検査が必要な場合も限定的ですがあります。それは、前立腺がんの術後フォローアップで、術後の急激なPSA値の上昇は、がんの再発を意味します。また、前立腺がんの家族歴をもつ患者も定期的なPSA検査の必要があります。いずれにしても、医療費の膨張に苦しむアメリカ政府はこの勧告を歓迎すると思われます。

しかし、これで決着がついたわけではなく、アメリカの泌尿器科学会に代表される多くの泌尿器科医はこの勧告案に反対しており、日本でも同様の反応が予想されます。

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コメント

  1. taniyan より:

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    tak先生
    お早う御座います。
    何時も有意義な記事感謝しています。
    素人なので理解は難しいですが。
    自分は毎年簡易ドック受けてますが昔はオプション、現在男性は定番メニュー、レベルは1.0以下なので問題ないのですが抜いてくれとも言えません。
               taniyan