禁煙に対するシチシンのプラセボ対照試験

Placebo-Controlled Trial of Cytisine for Smoking Cessation
以下は、論文要約の抜粋です。


背景:α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に高い親和性で結合する部分作動薬シチシン(cytisine)は、禁煙補助に有効かもしれない低価格の治療薬である。この研究は、シチシンの有効性と安全性をプラセボと比較した。

方法:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は、25日間シチシンを投与する群とプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要転帰尺度は、治療終了後12ヶ月間継続した生化学的に確認された禁煙とした。スクリーニングを受けた成人喫煙者1,542人中740例を試験に参加させ、各群に370例ずつ割り付けた。

結果:12ヶ月間禁煙継続率は、シチシン群8.4%に対し、プラセボ群2.4%であった。消化器系の副作用の頻度はシチシン群のほうが高かった。

結論:シチシンはプラセボよりも禁煙に有効であった。シチシンは他の禁煙薬よりも低価格なので、地球規模での禁煙の促進に利用できる可能性がある。


シチシンはマメ科のキングサリ(キバナフジ、Laburnum anagyroidesCytisus laburnumなどの名前がある)やクララに含まれるアルカロイドです。キングサリを口にすると、嘔吐、発汗、血管収縮、血圧上昇、知覚障害、呼吸不全等を起ことされており、これらはシチシンの作用によると考えられています。

シチシンを含有したTabexという薬剤は、東ヨーロッパの一部の国では40年以上にわたって禁煙補助薬として承認され、使用されてきたそうです。無作為化プラセボ対照試験も、過去に行われたことがあるそうですが、本論文は現代の厳しい基準で行われた初めての臨床試験の報告ということです。

禁煙薬バレニクリン(チャンティックス®)は、このシチシンの構造を元にして、ニコチン受容体部分的作用薬として開発された作られたものです。脳内のニコチン受容体を部分的に刺激しニコチンを吸った時と同様の状況を作りだしますが、人体には快感も中毒性も与えないと言われています。禁煙補助効果をシチシンと比べた臨床試験はないですが、数字をみる限りバレニクリンの方が効果が高いです。それでも、禁煙率は半分以下です。タバコ(正確にはニコチン)が「依存性薬物」であることを改めて強く認識しました。

綺麗だが毒があるキングサリ(金鎖)の花

関連記事
ファイザーの禁煙薬チャンティックス®(一般名:バレニクリン)で心臓病リスク高まる恐れ
他者への暴力行為が数多く報告されている―おそらく服用すると暴力的になる―(アメリカの)処方薬

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする