コントレイブ(Contrave®)は命拾いするか?

米オレキシジェンが肥満治療薬の試験開始へ 武田が北米販売権保有

以下は、記事の抜粋です。


武田薬品工業と提携する米オレキシジェン・セラピューティクス(Orexigen Therapeutics)は9月20日、肥満治療薬コントレーブ(Contrave)について、2012年に心臓血管への影響を調べる大規模な試験を開始することを明らかにした。

安全性が確認できれば、2014年にも承認される可能性があるとしている。これを受け、オレキシジェン株は時間外取引で87%急騰した。

FDAは今年1月、コントレーブについて、肥満患者が長期間服用した場合の心臓血管への影響を理由に、承認を見送り、まず「十分な規模と期間」の試験を実施する必要があるとしていた。武田はコントレーブの北米での販売権を保有している。


Contrave®は、ナルトレキソン(naltrexone)とブプロピオン(bupropion)の合剤です。ナルトレキソンは麻薬拮抗薬の一種で、日本では使用が認められていませんが、米国では麻薬中毒やアルコール依存症の治療に用いられています。また、ブプロピオンは、ノルアドレナリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(DNRI)の一種で、これも日本ではまだ承認されていませんが、欧米では、抗うつ薬として、あるいは禁煙補助薬として用いられています。

Contrave®は、武田がOrexigenから導入し、Orexigenが昨年3月に米国申請を行いました。同12月にはFDA諮問委員会が承認を推奨し、審査目標終了日の今年1月末での承認が期待されていました。

しかし、本年2月FDAは、現行の申請データでは長期投与時の安全性プロファイルに懸念があるとし、「承認されるためには、十分な症例数と期間の長さをもつ、ランダム化二重盲検プラセボコントロール試験を行って、Contrave®治療による肥満患者の心血管系有害事象が、リスク/ベネフィット分析結果に悪影響を与えないことを示さなければならない」と通告しました。

このFDA決定を受けて、開発は中断されるだろうというのが業界の観測だったと思います(記事をみる)が、このContrave®にもう一度チャンスが訪れたようです。9月20日FDAは、臨床試験によって心臓へのリスクの懸念が除かれれば、Contrave®を再考するとOrexigenに伝えたそうです。Orexigenのプレスリリースによると、FDAの要求は「リーズナブルで実現可能」なものだそうです。

関連記事にも書いたように、抗肥満薬の新薬候補―ロルカセリン、Qnexa®、Contrave®―はすべて、FDA承認で苦労しています。肥満研究者の間には、Contrave®などの抗肥満薬がなかなか承認されないことに対して、「FDAは薬物の副作用ばかり気にして、肥満の持つ危険性を無視している」との批判があったようです。そのためかどうかわかりませんが、FDAは、Contrave®だけでなく、トピラマート(topiramate)とフェンテルミン(phentermine)との合剤であるQnexa®にも近々再審査の機会を与えるようです。しかし、臨床試験の結果が良くなければ承認されないという厳しい状況は変わりません。

この程度のニュースで株価が87%も急騰するのは、このマーケットの大きさが評価されているのでしょう。どの薬物がレースに勝ち残るのか、あるいはすべて消えていくのかを注目したいと思います。

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