イマチニブ(グリベック®)はIdoを阻害して消化管間葉腫瘍における抗腫瘍T細胞応答を増強する

Imatinib potentiates antitumor T cell responses in gastrointestinal stromal tumor through the inhibition of Ido

以下は、論文要約の抜粋です。


イマチニブは、消化管間質腫瘍(GIST)において変異KITがんタンパク質を標的とし、約80%の患者で臨床効果が認められる。その作用メカニズムは、がん細胞の生存と増殖をひきおこすKITシグナルの阻害によると考えられている。

我々は、GISTのマウスモデルを使って、イマチニブの抗腫瘍効果に免疫系が大きく貢献していることを見いだした。イマチニブ療法は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(Ido)という免疫を抑制する酵素のがん細胞での発現を低下させることによって、がん組織内のCD8+ T細胞を活性化し、制御性T細胞(T reg)のアポトーシスを誘導した。

免疫療法の併用は、マウスGISTにおけるイマチニブの効果を増強した。新鮮ヒトGISTサンプルでは、そのT細胞プロファイルはイマチニブ感受性およびIDO発現と相関していた。以上のように、T細胞はGISTにおけるイマチニブの抗腫瘍効果に極めて重要であり、また免疫療法の併用は分子標的薬によって治療されるヒトがん治療の成績をさらに改善する可能性がある。


イマチニブ(グリベック®)は、臨床使用が認められた最初のキナーゼ阻害型分子標的薬です。フィラデルフィア染色体をもつ慢性骨髄白血病(CML)において、BCR-ABL融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害して抗腫瘍作用を発揮することが良く知られています。GISTの90%以上で活性化されているKITにも有効です。これまでのところ、イマチニブの抗腫瘍作用は、その腫瘍の原因となるチロシンキナーゼをイマチニブがどの程度抑制するかで決まると考えられていました。

ところが、本論文は、イマチニブの抗腫瘍効果が腫瘍細胞のチロシンキナーゼ抑制効果だけではなく、ホストの免疫系に依存していることを報告しています。

しかし、イマチニブの抗GIST効果がどの程度免疫系に依存しているのかは明確ではありません。論文でも、CD8+ T細胞を95%以上除去しているのに、イマチニブの抗GIST効果ははっきりと残っています。もう一つの問題は、このような作用メカニズムがどのくらい一般化できるかです。つまり、マウスのGISTで認められたイマチニブの抗腫瘍作用における免疫系の貢献が、BCR-ABLを持つヒトCMLにも認められるのか、あるいは、他の分子標的薬の場合にもあてはまるのかが重要です。

今後の分子標的薬の開発に大きな影響を与える論文だと思います。

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