うつ病、血液検査で「ほぼ確実に診断」?

うつ病、血液検査で「ほぼ確実に診断」…広島大

以下は、記事の抜粋です。


広島大の山脇成人教授(精神神経医科学)らのグループがうつ病の診断に、脳細胞を活性化するたんぱく質の遺伝子の働き具合を指標とする新しい方法を開発した。

採血から2日後にほぼ確実に診断できるという。うつ病の診断は、医師の臨床所見による主観的判断で行われているが、客観的な診断が期待できるという。

山脇教授らによると、このたんぱく質は記憶や神経細胞の発達に必要な「脳由来神経栄養因子(BDNF)」で、うつ病患者の血液中には相対的に少ないことに着目した。

中程度のうつ病で、30~59歳の男女計20人の血液を採取し、BDNFを作り出す遺伝子の働きを調べた。その結果、遺伝子が働き出す初期の部分をみると、20人全員の血液で、ほとんど機能していないことを確認した。山脇教授は「症状の早期発見や投薬治療の効果を調べる指標としても役立つ」と話す。


元論文のタイトルは、”DNA Methylation Profiles of the Brain-Derived Neurotrophic Factor (BDNF) Gene as a Potent Diagnostic Biomarker in Major Depression”です(論文をみる)。

研究グループは、うつ病患者と正常人の抹消血からDNAを抽出し、BDNF遺伝子のプロモーター領域にある2つのCpGアイランド(IとIV) のメチル化を調べました。その結果、CpG Iのメチル化プロファイルがうつ病の診断と一致して特長的なパターンを示したという結果です。

下図のように、うつ病群とコントロール群の間でのパターンの違いははっきりしていますが、1)例数が少ない、2)抗うつ薬のメチル化に対する影響を排除できないなどの問題があり、著者らも認めています。また、うつ病(major depression)の診断は、DSM-IVに拠ったと書かれているので、患者数の多い「躁うつ病」は含まれていません。マスコミは、センセーショナルに書き立てるだけではなく、このあたりにも触れる必要があると思います。

また、論文の著者の貢献の部分をみると、”Conceived and designed the experiments: MF SM. Performed the experiments: MF MS. Analyzed the data: MF MS. Contributed reagents/materials/analysis tools: SM YO SY NO TI IK TK. Wrote the paper: MF SM. Contributed to collecting materials: KT TT.”とあるので、山脇教授は試薬、材料、解析方法しか貢献しておらず、著者の順番も11人中5番目です。Corresponding authorでもありません。記者も記者ですが、教授も教授だと思います。

BDGF遺伝子のCpG Iメチル化のパターン(図をクリックすると拡大します)

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オナラリーオーサー(honorary author、名誉著者)など

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