急性冠症候群後の抗血小板療法にアピキサバンを追加しても虚血性イベントの再発は減少しない

急性冠症候群発症後のアピキサバンと抗血小板療法の併用

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:急性冠症候群の発症後、経口直接作用型第 Xa 因子阻害薬アピキサバン(apixaban)を抗血小板療法に追加投与すれば、虚血性イベントの再発リスクを減少させるかもしれない。

方法:急性冠症候群を最近発症し、虚血性イベントの再発の危険因子を2つ以上有する患者を対象として、標準的な抗血小板療法に、アピキサバン5mgを1日2回追加投与する群とプラセボを追加投与する群を比較するランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を行った。

結果:アピキサバン群で重大な出血が増加し、それを相殺するほどの虚血性イベント再発の減少は認められなかったため、7,392 例の時点で試験は中止された。中央値241日間の追跡調査で、主要転帰の心血管死、心筋梗塞、脳梗塞は、アピキサバン群3,705例中279例(7.5%)、プラセボ群3,687例中 293例(7.9%)で発生した。安全性の主要転帰である重大な出血は、アピキサバンの投与を受けた3,673例中46例(1.3%)、プラセボの投与を受けた3,642例中18例(0.5%)で発生した。頭蓋内出血と致死的出血がアピキサバン群でプラセボ群よりも多く認められた。

結論:急性冠症候群を発症した高リスク患者に対して、抗血小板療法にアピキサバン5mg1日2 回投与を追加すると、虚血性イベントの再発を有意に減少させることなく重大な出血の発生頻度を上昇させた。


急性冠症候群の発症後の標準的な治療は、アスピリン+クロピドクレルの二本立て抗血小板療法だそうです。しかし、このような過激な再発防止治療を行っても、虚血性イベントの再発を防ぐことは難しいとされています。

現行の凝固阻害薬であるビタミンK拮抗薬ワルファリンをアスピリン+クロピドクレルに追加した場合、虚血性イベントの再発を減少させるだけではなく、出血も増加させることが報告されています。また、クロピドクレルを新しいP2Y12受容体拮抗薬チカグレロル(ブリリンタ®)に変更した場合も、虚血性イベントと死亡率は減少させるけれども、出血を増加させることがわかっているそうです。このように、急性冠症候群発症後で虚血性イベント再発リスクの高い患者は、より良い予防法を求めています。

本論文は、最近話題の新しい経口抗凝固薬の1つアピキサバンを、抗血小板療法と組み合わせた治療が、糖尿病、心不全あるいは腎不全などを合併する高リスク急性冠症候群後患者の虚血性イベント再発に有効かどうかを調べたものです。

残念ながら、出血を増加させただけで、虚血性イベントの再発は減少させないという結果でした。本研究は、糖尿病、心不全あるいは腎不全などを合併する高リスク患者を調べたものですが、よりリスクの低い患者でどうかはまだわかりません。いずれにしても、新しい経口抗凝固薬の中で比較的評価の高いアピキサバンといっても、「夢の薬」ではないということだと思います。

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