アルツハイマー病患者の皮膚線維芽細胞を機能的な神経細胞に(iPS細胞を介さず)直接変換

Directed Conversion of Alzheimer’s Disease Patient Skin Fibroblasts into Functional Neurons

以下は、論文要約の抜粋です。


ヒト成人の細胞、例えば線維芽細胞から神経細胞を作ることができれば、神経疾患モデルの確立や細胞治療の臨床応用に役立つ可能性がある。

本論文で我々は、human-induced neuronal (hiN)細胞を成人皮膚線維芽細胞から作成する方法を紹介する。具体的には、ウイルスで導入した転写因子と外因性の材料を用いて、健常人とアルツハイマー病患者の皮膚線維芽細胞から機能的な神経細胞を効率よく作ることができた。

健常人の細胞から作成したhiN細胞は、形態学的、電気生理学的、遺伝子発現プロファイル的に前脳のグルタミン酸ニューロンの特徴を示し、ネズミの中枢神経系に移植しても機能することができた。一方、プレセニリン1あるいは2に変異を持つ家族性アルツハイマー病患者の細胞から作成したhiN細胞は、アミロイド前駆体タンパク(APP)のプロセシングと局在に異常を示し、Aβの産生も増加していた。

以上の結果から、ヒト成人線維芽細胞から神経細胞への直接変換が可能で、家族性アルツハイマー病患者の線維芽細胞から作成したhiN細胞では、アルツハイマー病に特徴的な病変を示すことが明らかになった。


当初研究者らは、関連記事で紹介したマウスでの直接変換で用いられた3つの遺伝子、Ascl1、Brn2 (Pou3f2ともよばれる)、Myt1lを使ったそうですがうまく行かず、前脳特異的な転写因子をコードする4つの遺伝子、Brn2、Myt1l、Zic1、Olig2、Ascl1を線維芽細胞に導入し、さらにBDNFやneurotrophin-3を加えて培養することで、直接変換が可能になったそうです。

家族性アルツハイマー病の場合、プレセニリン1や2の遺伝子に変異があり、これらの遺伝子は全身に発現しているのに、どうして神経細胞だけに異常が認められるのか?などの疑問を解決するのには優れた系だと思います。このように、個々の患者から作られたhiN細胞での神経変性の進行メカニズムの解析が進めば、治療に結びつくような結果が得られる可能性があると思います。

アルツハイマー病患者の皮膚線維芽細胞から神経細胞を作る(Cellより)

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