口蹄疫の伝染期間は考えられていたよりも短い―予防的な感染拡大防止殺処分が縮小の可能性

口蹄疫の被害を最小限に

以下は、記事の抜粋です。


口蹄疫は伝染力の強い疾患で、アフリカと南米に多く、ヨーロッパと北米の大部分では原因ウイルスは撲滅されている。しかし、世界各地で散発的な発生が見られ、しばしば巨大な経済的損失をもたらしている。今回、感染したウシからほかのウシに伝染する可能性がある期間は、これまで考えられていたよりも短く、何よりも、伝染可能な時期は疾患の症状が出現した後であることがわかった。

Bryan Charleston らの研究チームは、ある型の口蹄疫ウイルスを8頭のウシに接種し、施設内のバイオセキュリティー区域で、この第一感染のウシからほかのウシにウイルスを伝染させる実験を行い、ウシの血液検体や体温、病変といった一連のデータを取った。伝染を試みた28例のうち、口蹄疫が実際に伝染したのは8例だけだった。さらに、臨床的な徴候が現れてから半日程度までは感染源のウシに伝染力は認められず、伝染する期間は平均して1.7日だとわかった。

これまでは、伝染の期間がもっと大幅に長いとされていた。臨床的な徴候が現れる前にはウシの伝染力が低いという事実は、流行が発生したとき、感染リスクがある周辺農場で、即、ウシを処分する必要はなく、感染の徴候を注意深く監視すればよいのだろうと考えられる。


元論文のタイトルは、”Relationship Between Clinical Signs and Transmission of an Infectious Disease and the Implications for Control”です(論文をみる)。

昨年、宮崎で口蹄疫(Foot and Mouth disease 以下FMD)が流行してちょうど一年になります。その頃書いたブログ記事で、木村盛世氏が「何故多量殺処分が必要なのか」を議論していることを紹介しました。
木村氏は日本での問題点として、(1)「FMDには殺処分」とインプットされている(2)FMDの事をよく知らない(3)殺処分が有効ではないと主張する勇気がない(4)「殺す事が最良の方法」以外の意見が報道されない、などを指摘しています。

そして、「日本におけるFMDへの対応をみていると、感染拡大のための殺処分というよりは、殺処分自体が目的となっている感があり、『殺す事に意義がある』という流れの中で、冷静な議論などは何処かに吹き飛んでいる」とも述べています。

記事の「流行が発生したとき、感染リスクがある周辺農場で、即、ウシを処分する必要はなく、感染の徴候を注意深く監視する」というのは、日本のintensiveな牛の飼育法にピッタリだと思われます。しかし、今までこの論文のマスコミによる報道は皆無です。この機会に、多量殺処分についての議論をして欲しいと思います。

2005年ブラジルでのFMD流行に際して行なわれた多量殺処分(Natureより)

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