モヤモヤ病に関与する遺伝子を発見

モヤモヤ病関与、遺伝子を特定 京大・京産大など

以下は、記事の抜粋です。


脳の血管が細くなって脳出血などを引き起こす難病「モヤモヤ病」の発症と深くかかわる遺伝子とその働きを、京大医学研究科の小泉昭夫教授などのグループが突き止めた。米科学誌「プロス・ワン」で7月21日発表する。

モヤモヤ病は日本での発症率(約1万人に1人)が高い。原因は不明だが、家族性の発症も15%程度あり、遺伝的な要因もあるとみられている。

小泉教授らは、家族に発症者がいる患者の遺伝子を網羅的に調べた。特定の遺伝子に変異があることを突き止め、その遺伝子をmysterinと名付けた。ゼブラフィッシュの実験でmysterinの働きをなくしたところ、眼球や脊椎の動脈に異常な枝分かれを確認、血管形成で重要な働きをすると結論づけた。

家族性と確認できない患者も含め日本人の患者161人の約9割にmysterinの変異が見つかったが、患者ではない約2~3%にも変異があり、「発症には遺伝子の変異だけでなく、何らかの要因がかかわっているのではないか」という。グループは、患者の体細胞からiPS細胞を作ることにも成功している。


モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)とは、内頚動脈が頭蓋内に入り最初に血管を分岐する直前で左右とも急速に狭窄ないしは閉塞する病気で、ウィリス動脈輪が機能せず脳血流が不足します。 その結果動脈輪近傍の本来は細いはずの毛細血管が多数拡張して側副血行路を形成し脳血流を維持しようとします。血管撮影検査などでこれらの毛細血管が立ち のぼる煙のようにモヤモヤと見えるためこの病気がモヤモヤ病と名づけられました(下図参照、説明をみる)。


アジア系民族に多く、日本は最多と報告されています。2003年の調査では日本の患者数が7700名と推定されています。好発年齢は5歳を中心とする小児型の高い山と30~40歳を中心とする成人の低い山の二峰性を示すとされています。約10%の患者さんに家族例が認められます。遺伝形式は浸透率の低い常染色体優勢遺伝が考えられています。厚労省の研究班があり、小泉教授はそのメンバーです。

元論文のタイトルは、”Identification of RNF213 as a Susceptibility Gene for Moyamoya Disease and Its Possible Role in Vascular Development”です(論文をみる)。

論文では新しく同定されたモヤモヤ病の疾患関連遺伝子は”RNF213″と呼ばれていて、記事にある”mysterin”という名前は使われていません。

連鎖解析とエクソーム解析で、RNF213という5207アミノ酸の巨大なリングフィンガー型ユビキチンリガーゼをコードする遺伝子が原因遺伝子候補だとしています。RNF213の4810番目のアルギニンがリジンに変わる変異(R4810K)が東アジアの遺伝性モヤモヤ病と強い関連が認められ(オッズ比111.8)、その他にも下図のような変異が別の家系や人種で認められました。

問題は、R4810K変異があるRNF213タンパク質を培養細胞に発現させて、ユビキチンリガーゼ活性を測定したり、細胞内分布を調べても野生型と差がなく、患者での発現量も正常人と同じだったことです。そのために、ゼブラフィッシュのRNF213相同遺伝子をクローニングして、ノックダウンしたところモヤモヤ病的表現型が認められたというデータを追加したのだと思われます。たしかに、まだまだmysteriousです。

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