グリオーマの幹細胞増殖と腫瘍成長は誘導型NO合成酵素(NOS2)によって促進される

Glioma Stem Cell Proliferation and Tumor Growth Are Promoted by Nitric Oxide Synthase-2

以下は、論文要約の抜粋です。


悪性グリオーマは難治性の悪性脳腫瘍で、治療の改善には疾患をより深く分子レベルで理解することが必要である。最近、他のがんと同様、悪性グリオーマがん組織の中に存在し、その構成細胞を作る幹細胞様の細胞集団―グリオーマ幹細胞(glioma stem cells (GSCs))―がみつかっている。

本研究では、GSCsは誘導型NO合成酵素(NOS2)の発現上昇を介してNOを産生することを示す。GSCsは、幹細胞ではないグリオーマ細胞や正常神経幹細胞と異なり、細胞増殖と腫瘍形成能がNOS2活性に依存している。GSCsの発現プロファイル解析を行い、NOS2によって発現が制御される遺伝子として、細胞周期を阻害するcell division autoantigen-1 (CDA1)を同定した。

さらに、ヒトグリオーマ患者ではNOS2の高発現が生存率の低下と相関しており、NOS2を阻害するとマウス頭蓋内モデルでのグリオーマ増殖を遅延させた。
これらの結果は、GSCsをがん幹細胞化しているメカニズムを明らかにするヒントとNOS2阻害によるグリオーマ治療の可能性を示唆している。


幹細胞の選択は、CD133というマーカーを使っています。このCD133は他のがん幹細胞でもマーカーとして使われているようですが、そのメカニズムは良くわかりませんでした。いずれにしてもCD133+の細胞は、CD133–の細胞よりもNO合成の副産物であるnitrite (NO2-)が高いということです。

逆に、flavohemoglobinを強制発現してNOをnitrate (NO3-)に変換すると、GSCsの増殖が抑制されたそうです。遺伝学的にshRNAを用いてNOS2をノックダウンしても同様の抑制効果が得られました。さらに、1400WやBYK191023というNOS2阻害薬を用いた薬理学的な阻害もGSCs増殖抑制効果を示しました。これらの結果をみると、BYK191023などのNOS2阻害薬がグリオーマ治療に有効であることが期待されます。

要約のポンチ絵(Cellより)

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