アクトス(ピオグリタゾン)―仏・独当局が新規処方差し止め―膀胱癌発症リスク懸念

【武田の「アクトス」】仏当局が処方差し止め‐膀胱癌発症リスク懸念
以下は、記事の抜粋です。


フランスの規制当局である保健製品衛生安全庁は6月9日、武田薬品の糖尿病治療剤「アクトス」(一般名:ピオグリタゾン)と「コンペタクト」(アクトスとメトホルミンの配合剤)について、新規処方の差し止めを通達した。仏当局が実施したCNAMTS疫学研究の結果、ピオグリタゾン投与患者で膀胱癌の発症リスクが認められたため。

同庁の措置は、ピオグリタゾン群が非投与群に比べ、膀胱癌の発症率について有意に高いとする、CNAMTS疫学研究の全体解析結果に基づくもの。通達では、医師に対してピオグリタゾンの新規処方を中止するよう求めている。ただ、服用中の患者については、主治医の相談前に服薬を中止すべきでないとした。

ピオグリタゾンをめぐっては、ラットを対象とした癌原性試験で、膀胱腫瘍の発現が見られたことから、膀胱癌との関係を評価する臨床研究が欧米で行われている。ピオグリタゾンの再評価を行っている欧州医薬品庁(EMA)では、20~23日に開催される会議で、CNAMTS疫学研究の結果を踏まえ、欧州レベルでの措置を検討する。

米国では、カイザーパーマネンテ医療保険グループの主導によって、大規模な疫学調査も進められており、13年に完了する予定。国内でも、膀胱癌のリスクに関して、添付文書に追記する方向で、医薬品医療機器総合機構と協議を行っている。


アクトス®は、2011年3月期決算で製品別売上高3879億円、タケダ全体の売上の27%を占めるトップ製品です。しかし、海外売上3400億円の大半を占めるアメリカでは、アクトス単剤が2012年8月、アクトスとメトフォルミンの合剤・アクトプラスメッド、アクトスとグリメピリドの合剤・デュエットアクトは同年12月に特許失効見込みです。

2010年度の欧州売上高は295億円で、このうちフランスの売り上げは約15%です。欧州では11年に特許が失効し、売上は減少傾向に入っています。

一方、ピオグラタゾンと膀胱がんの関係については、昨年9月にアメリカのFDAが、同薬と膀胱がん発症の関係を調べる10年間の臨床試験の5年間分の中間結果を発表しました。同薬服用による膀胱がん発症リスクの有意な増加は認められなかったが、服用期間が長い患者群や累積投与量が多い患者群では膀胱がんリスクが増加していたという微妙な内容でした。

上の記事には書かれていませんが、6月10日にはドイツの医薬品医療機器庁がフランスに追随してアクトスの新規処方差し止めを通達しました。6月20~23日のEMAの決定次第では、FDAも引きずられる可能性があると思います。

同じチアゾリジン系経口糖尿病治療薬のロシグリタゾン(アバンディア®)は、99年に発売されましたが、07年にメタ解析の結果から心血管イベントリスクを上昇させるという指摘があり、10年にEMAが完全な市場撤退、それに引きずられたFDAが新規処方中止を勧告しました。

アクトスの売上は、特許切れによる分だけで2013年半ばまでに2400億円の減少が見込まれていました。EMAの決定とその後のFDAの動きに注目したいと思います。

タケダは、以下のサイトで今回の件を説明しています。

フランス及びドイツにおけるピオグリタゾン塩酸塩製剤に対する措置について

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