抗生物質と非抗生物質の組み合わせが抗菌作用を増強する

Combinations of antibiotics and nonantibiotic drugs enhance antimicrobial efficacy

以下は、論文要約の抜粋です。


違った種類の抗生物質を組み合わせて治療に使用することは、抗菌スペクトルを広げるため、あるいは相乗効果を得るために、普通に行われている。一方、非抗生物質と抗生物質の組み合わせをシステマティックに試した研究はこれまでなかった。

研究者らは、既知の抗生物質ミノサイクリンの作用を増強する化合物を、承認済みの非抗生物質1057種からスクリーニングした。その結果、複数の非抗生物質が病原菌や多剤耐性菌に対するミノサイクリンの抗菌作用を増強することを発見した。


研究者らは、P. aeruginosa(緑膿菌)、大腸菌、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)を対象に、1057種類のpreviously approved drugs(承認済み薬物)について、バクテリアのタンパク質合成を阻害する抗生物質ミノサイクリンの抗菌作用の増強効果を調べました。

その結果、ミノサイクリンの効果を増強する非抗生物質が69種類同定されました。これらは、今までに抗菌剤として使用されたことがないものばかりです。黄色ブドウ球菌に効くものが35、大腸菌に効くものが41、緑膿菌に効くものが6でした。

黄色ブドウ球菌に対しては、嫌酒薬のジスルフィラム(アンタブス®)が相乗的効果を示し、この効果はいくつかのMRSAにも有効でした。緑膿菌は臨床的にもミノサイクリンに対して抵抗性を示す薬物ですが、上記のように6つの薬物が同定されました。それらは、DOPA脱炭酸酵素阻害薬でL-DOPAとともにパーキンソン病に用いられるベンゼラジド、フケ予防薬クロロキシン、過敏性腸症候群に用いられるタガセロド、抗がん薬のマイトマイシンC、下痢止めとして用いられるロペラミドです。中でもロペラミドが最も強い相乗効果を示しました。ロペラミドはバクテリアへのミノサイクリンの取り込みを増やすと考えられているようです。

承認済みの薬物の場合、安全性がある程度保障されているため、開発にもあまり時間がかからないだろうということで、このようなスクリーニングが発想されたのだろうと思われます。ロペラミドなどが本当に臨床で有効かどうか、抗真菌薬などにも応用できるのかなどを知りたいと思いました。

ロペラミド入りの下痢止め(Satoより)

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