経口ビスホスホネート剤は静注剤と比べると顎骨壊死リスクは低い

Low Risk of Jaw Problems With Oral Osteoporosis Drugs

以下は、記事の抜粋です。


これまでの研究で骨粗鬆症治療薬と顎骨壊死の関連が示唆されている。しかし、3月17日に学会発表された研究によれば、経口ビスホスホネート(BP)剤による顎骨のリスクはそれほど高くないようだ。

発表によると、静注で投与されるBP剤については、これまでの報告と一致した顎骨壊死の高リスクを認めた(ただし、静注BP剤を投与される患者の絶対数は少ない)。静注剤のリスクは経口剤の約6倍だった。顎骨壊死は2003年に報告された稀だが重篤なBP剤の副作用で、血流不足による骨壊死がその原因だ。また、これらの初期の症例報告は、主に静注BP剤によっておこったものだそうだ。

この副作用のため、歯科医の中には骨粗鬆症薬を飲まないように勧める者もいるという。今回の発表を支持する研究者らは、このようなアドバイスは、患者を骨折リスクに曝すものだと考えている。

発表された研究は、3つの臨床試験と1つのメタ解析から成り立っており、臨床試験では516名の患者が参加している。これらの患者は、少なくとも2年間にわたってアレンドロネート(フォサマックス®)あるいはリセドロネート(アクトネル®)を経口で投与された。これらの患者をBP剤を投与しないコントロール群と比較したところ、どちらにも顎骨壊死は認められなかった。

メタ解析では、2000年から2006年に行われた700のヘルス・プランに参加した5千500万名のデータを解析した。この中、213,364名が経口BP剤、2,321名が静注BP剤を投与されていた。これらのグループをBP剤が投与されていない423,845名の患者と比較した。その結果、経口BP剤で顎骨壊死をおこした例は1,000例中1例で、非常に低いことがわかった。一方、静注BP剤では1,000例に6例だった。BP剤非投与群でも顎骨壊死は1,000例に0.9例で、経口BP剤群と同じだった。

これらの結果は、経口BP剤では顎骨壊死リスクは低いという、過去に報告された少数例の試験結果と一致する。研究者らはこれらの結果から、BP剤の経口服用ではリスクよりもベネフィットが多いと主張する。


同じ記事に”Second Opinion”として、この発表に批判的な意見も掲載されています。これは、なかなか素晴らしいことです。日本の場合、大手の新聞が学会発表しかされていない怪しい報告を大発見のように報道することはよくあります。

“Second Opinion”では、静注BP剤群と経口BP剤群の間に有意な差があることは、これまでも報告があり認めるが、経口BP群と非投与群との間に差がないことは認めがたいとされています。

また、経口BPによる顎骨壊死の発生率は1/1,000から1/10,000なので、516例の臨床試験で認められないのは当然だとしています。さらに、この記事の最後には、この研究はピアレビューがない学会発表なので、まだまだ予備的なものと考えるべきであるとも書かれています。日本の新聞ではこのような記載はみたことがありません。

元同級生で、カルシウム代謝のことに詳しい内科医は、「顎骨壊死は、10万人に1人ぐらいしかおこらない。飛行機事故に遭遇するぐらいの確率だ。自分の患者には歯科治療で中断している間に骨折を起こした例もある。中断しなければ良かった。」と言っていました。彼の発言とこの記事の内容の両方を信じれば、経口BP剤なら抜歯などの歯科治療のために中断しなくてもよいような気がしますが、断言はできません。悩ましいところですが、身内なら中断しないと思います。

ビスホスホネート剤と顎骨壊死についての本(メテオMBCより)

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