CYP2A6阻害薬は喫煙量の減少に役立つ

New Targeted Drug Helps Smokers Quit

以下は、記事の抜粋です。


ニコチンは肝臓のCYP2A6という酵素で分解される。カナダの研究者の予備的研究により、CYP2A6の阻害薬は喫煙の抑制に効果があることが示されていた。しかし、現在入手できるCYP2A6阻害薬は、副作用が多すぎてそのままでは使えない。

フィンランドの研究者らは、CYP2A6の構造解析データからコンピューターによる薬物設計を行い、副作用の少ない特異的CYP2A6阻害薬の開発めざしている。研究チームの東フィンランド大学薬理学教授、Hannu Raunio氏は、「既にいくつかの新規阻害薬をみつけたが、実際に薬として開発されるためには、まだまだ時間もカネもかかるだろう」という。

これまでの抗喫煙治療は、喫煙をやめることにフォーカスしていた。現在では、禁煙支援治療の選択肢もかなり多く、ニコチン、buproprion、vareniclineの3つは、喫煙中毒治療で最もよく用いられる薬物である。ニコチンは、退薬症状を解消・予防し、禁煙を容易にしようとするものだ。しかし、このようなやり方は良く失敗する。この失敗が喫煙を減らす治療という新しい治療の考え方を導いた。Raunio氏らの開発しようとしているのは、このような喫煙量を減らすことを目的とした治療薬である。


関連記事に書いたように、CYP2A6 の遺伝子を欠損しているヒトではニコチンの解毒が遅く、1本のたばこを吸っても、ニコチンの充足感があるので喫煙本数が少ないそうです(論文をみる)。

また、CYP2A6がたばこの煙や噛みたばこに含まれるニトロソアミン類を発がん物質に代謝するので、CYP2A6遺伝子を欠損しているヒトでは発がんリスクが少ないという話もあります(総説をみる)。

このように、CYP2A6が喫煙行動と遺伝学的に関連するという話はかなり以前からあり、CYP2A6の立体構造も5年以上前に明らかになっているので、CYP2A6の阻害薬を構造解析データに基づいてつくるというアイディアは、それほど新しいものではありません。また、CYP2A6の基質はニコチンだけではないので、副作用をゼロにすることは難しいでしょう。さらに、喫煙そのものが社会的に許されない傾向にありますので、このような薬の開発にはかなりのリスクが伴うと思います。

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CYP2A6の立体構造(Wikipediaより)

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