β-アミロイドを抹消組織で減らせば脳のβ-アミロイドも減る:アルツハイマー病における意義

Peripheral reduction of β-amyloid is sufficient to reduce brain β-amyloid: Implications for Alzheimer’s disease

以下は、論文要約の抜粋です。


これまでに、アルツハイマー病モデルマウス脳でのβ-アミロイドの蓄積と沈着に関連する遺伝子座位が3つ同定されている。その中の1つは、プレセニリン2をコードするPsen2である。プレセニリン2は、タンパク分解によりAβを作るγ-セクレターゼを構成するタンパクの1つである。

我々は、mRNA量を指標にしたマウスのPsen2活性は、予想外なことに、脳ではなく肝臓において遺伝学的関係を示し、脳のβ-アミロイド蓄積の原因は肝臓であることが示唆された。

血液脳関門を越えない抗がん剤であるイマチニブを投与すると、β-アミロイドの蓄積を血液中でも脳でも減らした。これらの結果は、脳のβ-アミロイドが末梢由来であること、およびイマチニブとその関連化合物がヒトのアルツハイマー病に対する治療・予防薬として有効である可能性を示唆している。


研究者らは、変異型のアミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現するトランスジェニックマウスを調べ、同じように変異APPを発現してもマウスの遺伝的背景によって脳でのβ-アミロイドの蓄積量が異なることに注目しました。そして、3つの遺伝子(Psen2、Cib1、Zfhx1b)の各組織での発現量と脳でのβ-アミロイドの蓄積量との関連を調べました。その結果、脳でのβ-アミロイドの蓄積に関連する3つの遺伝子は、それらの遺伝子の肝臓での発現量とは関連していたが、脳での発現量とは関連していないということが明らかになりました。

そこで、彼らはイマチニブを使いました。イマチニブは、チロシンキナーゼ阻害とは関係のないメカニズムで、γ-セクレターゼとγ-セクレターゼ活性化タンパクとの相互作用を阻害することが報告されています。上にも書かれているように、イマチニブは血液脳関門を越えないのですが、投与して1週間で脳のβ-アミロイド量を半分に減らしたそうです。マウスモデルでは、20%蓄積が増えるとアルツハイマー症状が出るので、50%減はかなりの効果です。

今まで多くの研究者は、β-アミロイドは脳でできて脳に蓄積すると考えていましたが、本論文が正しいとすると、末梢組織(おそらく肝臓)でできて脳に運ばれて脳に蓄積することになります。第1著者のSutcliffe氏の話によると、ノバルティス(イマチニブのメーカー)はこれまでのところ、興味を持っていなかったそうです。論文が出たので、今はもう少し興味を持ってくれているかもしれません。

肝臓以外の末梢組織がβ-アミロイド産生に関わる可能性も残っています。寝たきりになったりすると認知症の進行が加速したりするのと関係があるかもしれませんね。

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