イブプロフェンはパーキンソン病リスクを低下させるが、アスピリンや他のNSAIDsには効果が無い

Use of ibuprofen and risk of Parkinson disease

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:神経炎症がパーキンソン病(PD)の病因に関与しているかもしれない。以前の疫学的研究では、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)はどれもPDリスクを下げるという報告とイブプロフェンが特別にPDリスクを下げるという報告がある。

方法:イブプロフェンあるいは他のNSAIDsの使用が低PDリスクと関連するかどうかを、ベースライン時にはPDが認められなかった136,197名の参加者について前向きに調べた。NSAIDsの使用はアンケートで確認した。得られた結果を既に発表された前向き研究とあわせてメタ解析を行った。

結果:6年のフォローアップにおいて291例のPDを同定した。イブプロフェン使用者は非使用者よりもPDリスクが有意に低かった(相対リスク0.62)。さらに、イブプロフェンの投与量とPDリスクの間には容量依存的関係が存在した。一方、アスピリン、他のNSAIDs、アセトアミノフェンはPDリスクとの関連は認められなかった。メタ解析でも同様の結果が得られた。

結論:イブプロフェンは低PDリスクと相関するが、他のNSAIDsやアセトアミノフェンは相関しないという結果は、抗PD作用を持つ神経保護薬として、イブプロフェンをさらに研究する必要があることを示唆している。


136,197名の内訳は女性看護士98,892名、男性医療職37,305名です。イブプロフェンを定期的に(週に2回以上)服用した人はイブプロフェン非服用者と比べて、PDリスクが38%低かったそうです。メタ解析でも27%低かったそうです。

筆者らはこれまでに、非アスピリンNSAIDsが低PDリスクと相関すること(2003年)、その後、非アスピリンNSAIDsの効果は大部分イブプロフェンで説明できることを報告してきました。今回は、イブプロフェンだけが低PDリスクと相関することを報告しました。アスピリン、他のNSAIDs、アセトアミノフェンにはこのような相関はなかったそうなので、PDリスクの低下はCOX阻害と関係なさそうです。

筆者らは、PDの新しい治療標的として注目されているPPARγがイブプロフェンの標的ではないかと考えているようです。PPARγはアポトーシスと酸化ストレスによる損傷を抑制し、 NF-B、Ap-1、NFATなどの作用に拮抗します。最近の研究では、イブプロフェンはメタアンフェタミン投与によるPPARγ発現の減少を和らげるが、アスピリンにはこのような作用が無いことが報告されているそうです。

筆者らはさらに、イブプロフェンは、MPTPによるPDモデルマウスにも有効であること、アルツハイマー病脳に蓄積するβアミロイド42量を低下させ、疫学的にもアルツハイマー病リスクを下げるなどことから、イブプロフェンには他のNSAIDsにはない神経保護作用があることを強調しています。しかし、まだメカニズムはまったく不明です。

論文を読んで、解熱鎮痛薬を飲む必要があり、どれを選んでも良い状況であれば、イブプロフェンを選ぶのも悪くないと思いました。しかし、イブプロフェンには胃腸障害、腎障害、勃起不全などを多くの副作用があるので、PDやアルツハイマー病の予防だけのためにイブプロフェンを常用するのは、まだやめた方が良いと思います。

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コメント

  1. taniyan より:

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    tac先生
    おはようございます。
    よい記事に逢いました。
    自分は股関節炎がひどい時ロキソニンを服用。
    もう高齢なので意味ないかもですが、今からでもイブプロフェンに変薬を試みたいです。
    沈痛効果比は解りませんが。
                taniyan