視神経脊髄炎では、IL6シグナルが形質芽球の抗アクアポリン4抗体産生を促進

難病の視神経脊髄炎、原因を解明 薬効く可能性、臨床試験へ

以下は、記事の抜粋です。


視覚障害やしびれ、痛みが繰り返し起きる難病の視神経脊髄炎(NMO)の患者では、血液で特定のリンパ球が増え、神経系の細胞を破壊する抗体をつくり出していることを突き止めたと、国立精神・神経医療研究センターの千原研究員らが2月14日付米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

このリンパ球は「プラズマブラスト」と呼ばれ、インターロイキン(IL)6によって増えていた。山村部長は「IL6を阻害する薬を使えば、NMOを治療できる可能性が出てきた」と話し、臨床試験を計画している。

NMOの患者は日本で約4千人。中枢神経系の難病「多発性硬化症」に似ており難病と扱われているが、研究が進み、二つは別の病気と考えられるようになってきた。
研究者らはNMO患者24人の血液を分析し、プラズマブラストが健常者や多発性硬化症患者より多いことが分かった。このリンパ球はIL6に刺激され、NMOを起こす抗アクアポリン4抗体を作っていることを確かめた。

IL6を阻害する薬は既にリウマチなどで使われている。この薬を試験管内で加えると、プラズマブラストは減少した。


元論文のタイトルは、”Interleukin 6 signaling promotes anti-aquaporin 4 autoantibody production from plasmablasts in neuromyelitis optica”です(論文をみる)。

視神経脊髄炎(Neuromyelitis Opitica, NMO)は、水チャネルであるアクアポリン4(AQP4)に対する自己抗体により発症する病気です。目の症状と脊髄の症状を繰り返すのが特徴で、多くは重症で、約30%が少なくとも片目を失明しており、約60%が脊髄の病巣による高度な障害を持っています。NMOについてはこちら

中枢神経系の神経細胞は、アストロサイトというグリア細胞に支えられています。アストロサイトは神経細胞を固定し、必要な物質を供給しています。また、アストロサイトは、その足突起で血液脳関門を形成しています。

アストロサイトの足突起にはAQP4がたくさん発現していますが、NMOではこの水チャネルを、自己抗体が攻撃することで発症すると考えられています。AQP4が攻撃されると炎症が起き、炎症は周辺の組織まで破壊し、様々な症状が出てくると考えられています。

本論文では、形質芽球(プラズマブラスト)がNMO患者の末梢血中で増加していることと、この形質芽球が抗AQP4抗体産生細胞であることを明らかにしました。さらに、NMO患者ではIL6が増えていることを示し、インビトロ実験では、IL6投与が形質芽球の生存を促進することと、抗IL6受容体モノクロ抗体投与が形質芽球の生存を阻害することを示しました。

これらの結果から、NMO患者に対する抗IL6受容体モノクロ抗体投与が非常に興味深いと結論しています。

抗IL6受容体モノクロ抗体は、ヒト化されたものがアクテムラ®(一般名:トシリズマブ)として商品化されています。アクテムラ®は、IL-6とそのレセプターの結合を競合的に阻害することにより、IL-6の生物学的作用を抑制し薬効を発揮するとされています。現在は、「キャッスルマン病」と「既存治療で効果不十分な、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎」に対して用いることができます。

今後は、本論文の結果に基づいて行われると予想される、アクテムラ®のNMOを対象とした臨床試験の展開に期待したいと思います。

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